国内ホラー
作者のことはよく知らなかったのだが、本屋で見かけて面白そうと手にとった。 ドキュメント的な「残穢」みたいな展開と怖さを求めていたのだが、ちょっと違った。でも、つくりはそういう感じなのだ。怪談を集めるのが趣味という医師が主人公で、その彼の元に…
前の巻を読んでから少し間があいたので、最初どんな設定だったかうろ覚え状態だったんだけど、すぐに回復。そうそう、女子が三人いて、前回のラストでカルト教団とやりあって、と色々思い出して即没入。 今回も空魚と鳥子は、危なっかしく裏世界を探検してお…
今回は、とある女子校に頻出する怪異を解決するため、われらがSPR(渋谷サイキックリサーチ)の面々が活躍する。狐狗狸さんが引き起こした狐憑きにはじまり、不審な物音、ポルターガイスト、果ては生徒が傷つけられる実害まで出る始末。 だが、調査を開始し…
本書でこのシリーズの流れは変わる。さて、どれだけ続くかわからないが、この第三巻が本シリーズの変化点であるのは間違いないのである。本書には三編収録されている。 ファイル9 「ヤマノケハイ」 ファイル10「サンヌキさんとカラテカさん」 ファイル1…
というわけで、早速第二弾読んじゃった。 読みやすいからスイスイ読めちゃうんだよね。で、今回もネットロアネタが色々出てきて楽しませてもらいました。でもね、前回シリーズ第一弾の感想書いたとき、主人公二人のことにまったく触れてなかったんだよね。な…
ネットロアという造語を本書で知った。ネットとフォークロアを合わせたのだそうな。世に不思議な話は尽きないのだが、ネットが普及してからこういった不思議な話、奇妙な話、怖い話が世に広まる速度には目覚ましいものがあったよね。もともとぼくは2ちゃん…
なんといっても前回の「ぼぎわん」や今回の「ずうのめ」といった、そのネーミングのセンスにうっとりしてしまう。この感覚はちょっと真似できないよね。さらに本作で強烈に特徴づけられているのが、フィクションとノンフィクションの境界の曖昧さだ。あきら…
最近の角川ホラー大賞作の中では断トツだった。ま、いままでの大賞作全部読んだわけじゃないけどね。でも、第17回と第19回の大賞作は、とんでもない作品だったのでその中では本作は作品として完成されていたと思うのである。 本書は三部構成になっていて…
小野不由実といえば、ホラーなのである。もちろんファンタジーの傑作として名高い『十二国記』もあるのだが、やはり小野さんといえばホラーなのだ。 本書は小野さんが今ほどメジャーになる前に書かれたジュブナイル・ホラーだ。ぼくはこれを読んだとき、あの…
「残穢」とは、読んで字のごとく穢れが残ることである。穢れとは、ただごとでない。穢れは汚れではない。汚れのように洗い流すことのできないものなのだ。穢れは、お祓いや清めによって浄化される場合もある非常にやっかいなものなのだ。そう、穢れは一度つ…
平山蘆江という人のことは、まったく知らなかった。あの泉鏡花と怪談会を開いていたそうで、大正から昭和にかけて活躍した今でいうところのジャーナリストだったらしい。怪談会を催すくらいだから、この人、怪談には目がなくて、本書のような怪談集を出して…
本書は漱石の著書の中から不思議な話、奇妙な話などをピックアップして独自に編集した本だ。漱石は小説や随筆の中でそういった奇妙で怖いエピソードや幻想的な話を好んで披露している。自身そういった怪談やオカルトが大好物だったそうで、自然そういう話が…
ホラーとミステリの融合を模索する三津田信三の新作である。単独の作品で体裁としては作者である三津田氏が編集者時代から蒐集していた怪談の中から、発表を見合わせていたといういわくつきの話があるという導入部で幕を開け、その怪談がそれとは別に紹介さ…
極秘で運営されるある組織に属する者の物語。語り手である「わたし」は先天的な染色体異常をもっており、それゆえに『先導者』として『御役』につく運命を背負っていた。『御役』とは、生前に結ばれた契約によって死者となった名士・金持ちを、再び名誉ある…
内村 鑑三の「余は如何にして基督信徒となりし乎」とはまったく関係ない。同じタイトルだとしてもね。まったく人をくった話なのだ、この表題作は。魅力的な尻に惹かれてつけていった女は中学の時の同級生服部ヒロシの姉だった。彼女に誘われるままに不気味な…
今回はホラーの王道の幽霊屋敷物である。いわくありげな洋館で日夜ポルターガイスト現象に悩まされる一家を救うべくSPR(渋谷サイキックリサーチ)の一行とおなじみの準メンバー達が原因究明に乗り出す。ラップ音、動く家具、地震のような激しい振動。い…
入手困難だったこのゴーストハントシリーズの第一巻をようやく読むことができた。ずいぶん前にこのシリーズの番外編として講談社X文庫ホワイトハートから出た「悪夢の棲む家」を読んだことがあったのだが、それが結構怖かったので本編も是非読みたいと思っ…
本書も角川書店の『読者モニター企画』でいただいた簡易製本。前回の読者モニターで一路晃司「お初の繭」のことを散々けなしてしまったのにもかかわらず、また本書で当選してしまったのである。まさか再び選ばれるとは思ってもみなかったので、正直驚いた。 …
本書には三つの中短編が収録されていて、表題作の「熱帯夜」は日本推理作家協会賞短編部門を受賞している。しかし、ぼくはこの受賞作よりも他の二編のほうが印象に残った。単行本刊行時のタイトルにもなっていた「あげくの果て」は近未来SFであり、高齢化…
あの「あゝ野麦峠」の世界なのだ。戦前の貧窮にまみれた農村の娘が製糸工場に出稼ぎにいき、そこで過酷な労働に直面するあのなんとも悲惨な話がベースになっている。 語り手は、タイトルにもなっているお初。口減らしも兼ねて、身売り同然の扱いを受けながら…
どこまで話してもいいのかな?とりあえず、本書には稀代の殺人鬼が登場する。その名は蓮実聖司、高校の英語教師であり、その甘いルックスと高い知性でもって学校でも人気の先生なのだが、彼は生まれつき人間としての感情が欠如しているという重大な欠陥をも…
素敵で怖い短編が11編。この人の本格的なホラー作品を読むのは初めてなのだが、なかなか楽しめた。収録作は以下のとおり。「のぞき梅」「影」「樹の海」「白い顔」「人柱」「上下する地獄」「ステイ」「回来」「追いかけっこ」「招き猫対密室」「バベル島…
これね、残念なことに話半ばで、まるっとするっとお見通しになってしまったのである。おそらくこういうオチになるんじゃないかなと予想してたらその通りになったので、逆に驚いてしまった。だから、ミステリ的興趣はあまり感じなかったのである。話的には前…
オーケンの処女小説が本書なんだそうで、これが胡散臭い宗教を扱っているからなかなか手を出す気にならなかったのだが、読んでみれば至極おもしろい本だった。新興宗教が舞台になっているのは間違いないのだが、本書で描かれるメインの要素は一種の超能力戦…
五編の短編が収録されているのだが、連作となっていてそれぞれが大学の奨学係の女性職員が斡旋するアルバイトを巡る話となっている。まず、この女性事務員が謎めいた存在なのだ。彫りの深い整った顔立ちなのにも関わらず、常に無表情で無機質な印象を与える…
この本は『ふしぎ文学館』の頃から少し興味を持っていたのだが、今回文庫になったのということで読んでみた。作者の北原氏は生粋のシャーロキアンだそうで、本書に収められている12の短編のうち表題作以外は、すべてホームズの活躍したヴィクトリア朝を舞…
この人の本を読むのは初めてなのだが、雰囲気的には女性の怖い面を強調したサスペンスっぽい作品を書く人なのかなと思っていた。当たらずとも遠からずという感じだ。本書を読んだ限りでは、それほどの吸引力は感じなかったが、普通に興味を持続して読み終え…
年末のランキングで「粘膜蜥蜴」が話題になってたので、さっそくデビュー作である本書を読んでみた。物語の導入部はこんな感じ。身長195センチ、体重105キロという巨漢で横暴な小学生の義弟を殺そうと画策する長兄・利一と次兄・祐二。だが、体力的に…
この人の本は今回初めて読んだのだが、非常に惜しいと感じた。細部を取り出すと、これほどゾクゾクさせてくれる本もないなと思えるほど怖いのだ。だが、いかんせん物語の本筋がなんとも弱かった。だから凄く惜しいのだ。この怖さとストーリーのおもしろさが…
これ分類が難しいなぁ。一応「国内ホラー」にしといたけど、ホラーかといえば、ちと弱い気もするんだよな。でも、ミステリって感じでもないしね。ま、これでいいか。というわけで、いままで長い間読まずにきた京極作品なのである。ずっとずっと以前に「狂骨…