読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

ライトノベル

階知彦「シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究」

本書に登場する女子高生・穂泉沙緒子は、自分の知り得る情報を最大限に活かして推理するいわば演繹法を駆使するホームズ型探偵だ。ワトソン役である和藤園子がはじめて彼女に会ったとき、沙緒子は園子のフルネームからクラス委員をしていることまでピタリと…

竹宮ゆゆこ「砕け散るところを見せてあげる」

なかなか衝撃的なタイトルだ。砕け散るって?見せてあげるって?自爆テロ?しかし、当然のごとく本書の内容はそんな非人道的なものではない。むしろ、その真逆だ。ここで描かれるのは、真っ当な行為の神性とでもいうべき不変のテーマだ。 それは正義。誰もが…

遠藤浅蜊「魔法少女育成計画」

ここで一つ、ぼくの魔法少女遍歴を披露してみようと思う。記憶している中で一番古いのはやはり「魔法使いサリー」だ。しかし、ぼくはサリーちゃんはあまり好みじゃなかった。同様に「ひみつのアッコちゃん」もおもしろいとは思わなかった。ぼくが好きだった…

東出祐一郎「ケモノガリ」

限られた人間だけが莫大な入会金と徹底した調査の上で参加できる殺人を享楽する『クラブ』。彼らは独立間もない東欧の小国の一都市を買い取ってそこで人間狩りを行っていた。日本から修学旅行で訪れていたとある高校の一団が拉致され獲物として供給される。…

森晶麿「奥ノ細道・オブ・ザ・デッド」

またまたゾンビなのである。ほんとゾンビ物には目がないぼくなのである。しかもなんとあの松尾芭蕉が出てくるというではないか。表紙をみれば、ラノベ街道まっしぐらのかなりポップな仕上がりなので、普通じゃないのはわかっていたがまさかこんな事になって…

大樹連司「オブザデッド・マニアックス」

ゾンビマニアのオタク高校生 安東丈二は、夏期合宿として本土から数百キロ離れた紋浪(あやなみ)島に来ている。クラスの中では目立たぬ存在で、みんなからは軽く無視されているのだが、彼としては大好きなゾンビ映画が観れて、学級委員長の黒髪が素敵な城ヶ…

かじいたかし「僕の妹は漢字が読める」

この本が成そうとしていることは、もしかすると結構すごいことなのかもしれない。はっきりいって、まだ本書を読んだだけでは、そこのところが判断できない。なぜならこの物語はまだ閉じていないのだ。 そう、ここで語られる一見したところなんとも脱力してし…

浅井ラボ「Strange Strange」

暗黒短編撰ということで、本書には台泰市を舞台にした4編の短編が収録されている。収録作は以下のとおり。 ・「ふくろおんな」 ・「ぶひぶひ♥だらだら」 ・「人でなしと恋」 ・「Last Day Monster」 それぞれ暗黒といわれるだけあって、かなり生理的にキツ…

深見真「ロマンス、バイオレンス&ストロベリー・リパブリック」

久しぶりのラノベだが、これがなかなかしっかりした作品だった。剣と魔法のファンタジー世界をベー スに特殊部隊アクションのハードさとボーイ・ミーツ・ガールのときめきをプラスした新しい感触の物 語に仕上がっているのだ。 舞台はおそらく地球。だが、ま…

野村 美月 「“文学少女”と恋する挿話集 2」

この本の前に『もうひとつの“文学少女”の物語』といわれる「“文学少女”見習いの、初戀。」があっ たのだが、すっ飛ばしてこっちを先に読んでしまいました。だって、この挿話集の主人公がななせだと聞 いたものだから、いてもたってもいられらくなってしまっ…

清水マリコ「嘘つきは妹にしておく」

ラノベを読むようになってから、年甲斐もなくカラフルな背表紙の並ぶ棚の前でおっさんがウロウロする ようになったのだが、たくさん並んでいる本の中にこれだ!と思うものを見つけるのはそうそうあること ではない。そんな中、この文庫からは読む本はないだ…

野村美月「文学少女と恋する挿話集①」

めでたく完結したこのシリーズ、まさかの新展開となって、うれしいやら戸惑うやらの混乱した心情なの だが、その前に本編に付随するこのエピソード集を読むことにする。 ここに収録されているのは本編では語られなかったサブストーリー。あの話の裏ではこん…

一肇 「幽式」

たまたま本屋で見かけて手に取ったのが運のつき、久々にラノベを読むことになってしまった。 本書が扱うのは、タイトルからもわかるとおり霊の世界なのである。しかし、生粋のホラー小説じゃない ってとこがミソ。ただ、やはり扱っているテーマがテーマだけ…

野村美月「文学少女と神に臨む作家(上下)」

ようやく読み終わった。これだけ一つのシリーズを根気よく読み続けたことって、あまりないから自分を 褒めてやりたい。だって、このシリーズ全部で8巻もあるのだ。順次追っていかなかきゃ、長いぜまった く。大団円にふさわしく、今回は大盤振る舞いの上下…

野村美月「文学少女と月花を孕く水妖」

もう最終巻が出てしまったこの文学少女シリーズ。これはいけないとあわてて本書を読んでみたのだが、 本作は時系列的には第二巻のあとの話となる。ここへきてどうして過去に戻るのか?ここで語られるのは 学園の女王である姫倉麻貴の血族の歴史である。いま…

野村美月「文学少女と慟哭の巡礼者」

相変わらずうまい。基本、恋愛絡みのストーリー展開になってしまうのはラノベの王道ともいえるので仕 方ないのだが、それにしてもこの話の盛り上げ方はどうだ。三人も子どもがいる、いい歳こいたおっちゃ んが真剣に読み込んでしまうのだから、このシリーズ…

野村美月「文学少女と穢名の天使」

このシリーズ、ほんとうに刊行ペースがはやいよね。なのに毎回毎回これだけの質を保っているのだから 作者の野村美月って人は只者ではないと思うのである。 で、今回メインに語られるのは、待ってましたの琴吹ななせちゃんだ。ぼくは、もうこの琴吹さんと心…

誼阿古「クレイジーフラミンゴの秋」

先に紹介した「クレイジーカンガルーの夏」のスピンオフ作品ということで、舞台も同じなら、登場人物 もほぼ同じで今回は女の子が主人公である。 しかし個人的な好みからいえば、今回の作品のほうが断然良かった。相変わらずぎこちない部分が目につ き読みづ…

野村美月「文学少女と繋がれた愚者」

※ 今回の感想はネタバレはしてませんが、読んだ人しかわからない内容にも触れています。 シリーズ三作目ともなると、もうこちらも古巣に帰ってきたような安心感がある。あの馴染み深いキャラ たちにまた会えるんだと少し浮き足立った気持ちで本を開くのであ…

誼 阿古「クレイジーカンガルーの夏」

新人さんのデビュー作ということで荒削りな部分も目についたが、なかなかどうして直球で心に食い込ん でくるいい作品だった。 舞台は兵庫県南部のとある市。時代は1979年だから、ここに登場する中学生たちはぼくより少しお兄 さんだ。しかし、かぎりなく…

古橋 秀之「ある日、爆弾がおちてきて」

電撃文庫で短編集ってのもめずらしいのではないか?本編には七つの短編がおさめられている。 すべての作品に共通しているのは、ここで描かれるのがボーイ・ミーツ・ガールの話だということだ。 シチュエーション的にそれぞれバラエティーにとんだ内容になっ…

野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」

もうすでに第三弾が出てるとの情報を冴さんから仕入れたので、うかうかしてられないとて急いで読んで みた。 前回が純然たるミステリだったのに対して今回はその部分では少し弱い。暗号などが出てくるが、これは お遊びの範囲。しかし、話的には前回よりもさ…

野村美月「文学少女と死にたがりの道化」

この歳になってラノベ信者となったぼくだが、それでもどうしても苦手なものがある。 それは、この世界特有の『萌えキャラ』だ。そういう登場人物が出てくると、一気にテンションが下がっ てしまう。「きゃうん!」とか「ふにゅ」なんてセリフが出てくると、…

とみなが貴和「EDGE~エッジ~」

いま話題になっている本書をとにかく読んでみた。本書は講談社Ⅹ文庫ホワイトハートで刊行されてい た。第一巻である本書が刊行されたのは1999年。それが今年第五巻をもって無事完結した。 発表された当時からじわじわと人気が出て、ホワイトハートにも関…

日向まさみち「本格推理委員会」

「鴨川ホルモー」に出会って『ボイルドエッグズ新人賞』なんてものがあることを知った。本書はその 新人賞の第一回受賞作である。 読み始めではアニメ調のセリフ回し、アニメ調のキャラ設定などが鼻について、あまり好みじゃないな と思った。事件自体も校舎…

上遠野浩平「しずるさんと偏屈な死者たち」

上遠野浩平といえば、「ブギ-ポップは笑わない」を以前に読んだ。でも、あまりピンとこなかったの でそれまでとなっていたのだが、今回ライトノベル漁りをしている最中に本書を見つけてもう一度トラ イしてみようと思い立った。この人が「殺竜事件」などの…

日日日「ちーちゃんは、悠久の向こう」

なかなかに悲惨な話だった。直接的な描写がないだけで、語られていることは残酷なことこの上ない。 あまり先入観をもってなかったので、結構インパクトあった。怪談好きの女の子というのは目新しくな いが、そこから波及していく物語の展開がおもしろかった…

黒田研二「嘘つきパズル 究極の名探偵★登場」

まず冴さん、この本の存在を教えていただいて感謝しております。それと、ゆきあや先輩、先に読んじ ゃってすいません^^。 ほんと冴さんに教えてもらわなかったらこんなマイナーな文庫、一生見つけることはなかったと思う。 それにこの表紙。いくら魔夜峰央…

滝本竜彦「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」

高校時代を振り返ると、自分はなんと愚かで世間知らずだったのかと驚いてしまう。それが特権なのだとは思うが、やはりあの頃というのは超がつくバカの時代だったと思うのである。 それに加えて、いかに自分が宙ぶらりんだったのかという事も思い知らされる。…

万城目学「鴨川ホルモー」

ホルモーとは何ぞや?ホルモンではなく、ホルモー? まったくたいしたセンスではないか。タイトルでがっちり心をつかまれてしまう。 そしてそして、驚くべきはその内容だ。 本書は、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した著者のデビュー作である。こんな賞…