読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョー・R・ランズデール「ダークライン」

本書は追想の物語なのである。五十代後半のスタンリーが過去の出来事を振りかえる形で物語が進んでゆく。時は一九五八年、十三歳のスタンリーは家族と共にテキサス東部のデューモントという町に引っ越してくる。そこで売りに出されていたドライヴ・イン・シ…

今村友紀「クリスタル・ヴァリーに降りそそぐ灰」

ある日突然崩壊する世界。主人公のマユミは女子高で授業を受けている最中にその瞬間に遭遇する。目が見えなくなるほどの閃光と聞いたことがないくらい大きな轟音。何かが起こったことは間違いないのだが、いったいそれが何なのかはわからない。パニックに陥…

野坂昭如「童女入水」

衝撃的なタイトルだ。しかし、この表題作で描かれるのは一人の童女の死だけではない。この短編30ページほどの短いものなのだが、童女の死にたどり着くある一族の暗い歴史がまるで年代記のように描かれるのである。その濃密な世界は読むものを圧倒する。短…

北野勇作「きつねのつき」

天気のいい日曜の朝、あたたかい陽射しをあびて幼い子と公園に遊びに行くような、なんとも平和で愛 らしい幕開けで本書は始まる。父と娘、仲むつまじく暮らす親子。三歳の春子は最近よく言葉をおぼえ、 舌足らずながら色々なことを話してくる。語り手である…

2月の読書メーター

2012年2月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:2768ページ ナイス数:33ナイス ■一一一一一(イチイチイチイチイチ) 『なんだこれ…』がとても気になるんですけど………。 読了日:02月29日 著者:福永 信 http://book.akahoshitakuya.com/cmt/17…

古本購入記  2012年 2月

今回は7冊6作品。新刊は一冊も買ってない。そういう時もあるよね。っていうか、ほんと最近は欲しいと思って飛びつく本がないのだ。読みたいと思う本はそこそこあるのだけれど、手元において愛でたいと思える本がほんと少なくなってきた。本屋に行っても以…