本書に興味をもったのは、まずその異様なイラストだ。キギノビルというイラストレーターの手になるこの独特なタッチの絵は、不気味で生々しいのに、目が離せない。実際こんなのに遭遇したら卒倒もんだけど、なぜか惹きつけられる。だから思わず買っちゃったのである。
体裁としては、中学生の男の子が実家の家業を継ぐことになった父の都合で、田舎に引っ越さなければならなくなり、その田舎での日々をブログにアップしているというもの。しかし、そこには奇妙な異形のモノたちが存在していたのである。
プロローグとエピローグを除くと六話収録されていて、それぞれにイラストが一枚ついている。不気味で歯がいっぱいで感情のない異形のモノが精彩で精密に描かれている。
話的にはブログ主の男の子が遭遇する異形とそれを受け入れて普通に暮らしている村の秘密が徐々にあかされてゆくという形になっているのだが、真相は隠されている。実をいうと、この本の謎は読者が解くことになっている。X(旧Twitter)で作者 藤白圭氏のアカウントから出題されていて、全三問すべてに答えると抽選でプレゼントが貰えるのだが、ぼくは二問目までわかったけど残り一問がよくわからなかった。
とにかく不気味で楽しい本である。YAだけど大人でも楽しめる。すぐ読めちゃうけどね。