読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2024-01-01から1年間の記事一覧

森見登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋」

モリミー久しぶり。いつ以来?ていうか、万城目学は、色々読んでいるんだけど、モリミーは一冊しか読んでないんだった!!というわけで、本当にお久しぶりのモリミーなのだが、これがなんだかイマイチだったのだ。 ホームズ譚は一応全部読んでいる。もう30年…

インドロ・モンタネッリ「ローマの歴史」

ローマ史?高校生の頃世界史で習ったっけ。カエサル、カリギュラ、ネロ、マルクス・アウレリウス・アントニヌスくらいは、名詞として知っているけど、それ以上でもそれ以下でもない。まったくローマ史については無知蒙昧なのであります。 でもね、そんなぼく…

雨穴「変な家」

取っ掛かりの謎は魅力的だ。奇妙な間取り、余計な空間、導線を無視した部屋の配置。よくよく見ればおかしな所ばかりなのである。その奇妙な間取りの家を購入しようか迷っている知人の依頼でこの物件を調べることになった筆者は、これまた知り合いのミステリ…

野田サトル「ゴールデンカムイ」

とうとう大団円まで読み切ってしまった。久しぶりに漫画にのめり込みました。読み切りはたまに読むけど、この巻数(31巻)を読み切ったのはいままで生きてきて初めてのことだ。 ま、そんなたいそうな話じゃないんだけどね(笑)。当初は、たまたま映画観る…

藤白圭(著)キギノビル(イラスト)「異形見聞録」

本書に興味をもったのは、まずその異様なイラストだ。キギノビルというイラストレーターの手になるこの独特なタッチの絵は、不気味で生々しいのに、目が離せない。実際こんなのに遭遇したら卒倒もんだけど、なぜか惹きつけられる。だから思わず買っちゃった…

手代木正太郎「涜神館殺人事件」

禍々しい表紙と涜神という文字に魅せられてWindo is blowing from the Aegean 女は海〜(知っている人だけわかればいいです笑)。ま、とにかくそういうわけで読んでみたのであります。この作者、つい先日感想を書いた「王子降臨」の作者なのだが、本書はあの…

ホリー・ジャクソン「受験生は謎解きに向かない」

短いから遅読のぼくでもすぐ読めてしまった。本屋でも、先の三部作の印象があるので五、六百ページくらいの本を探していたから、本書の目の前をスルーしちゃって見つけられなかったしね。 ま、とにかく本書を読めたことをうれしく思う。なんせこのミステリ、…

岡本綺堂 編訳 「世界怪談名作集 信号手・貸家ほか五篇: 信号手ほか」

案外こういった名作読んでいないんだよね。プーシキンの「スペードの女王」とかディケンズの「信号手」とか、他のアンソロジーでも取り上げられているから、いくらでも読む機会あったけど読んでないんだよねー。で、ここに収録されているのが 貸家 リットン …

ウィリアム・フォークナー「ポータブル・フォークナー」

フォークナーって、アメリカ南部を描いた作家で、世界文学全集には必ず入っている文豪ていう大雑把な認識しかなかったんだけど、彼って当初は世間からあまり評価されていなかったそうで、本書はそんな彼の不当な評価を払拭しようと批評家、編集者として有名…

泉朝樹「見える子ちゃん 」

ある日突然、この世のものではない存在が見えるようになった四谷みこちゃん。しかも、その見えてる存在がなかなかエグくて気色悪くておぞましくて怖くて、ちょっと無理的なビジュアルばかりだから、たまったものじゃない。彼女は咄嗟にその存在が見えている…

荒山徹「大東亜忍法帖」完全版

ようやく、ようやくこの作品が完全版として復活した!どこかが必ずちゃんと読めるように刊行してくれるはずと信じてよかった。なんとなれば、本書は上巻が2016年に刊行され、その三ヶ月後に下巻が刊行される予定だったのが、突然出版社からの結末の改変要求…