2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧
ようやく、このめずらしい本を読んだ。刊行されたのは、もう二十年も前なのだ。かなり古いな。 ところで、ここに収録されている作品は夢枕獏以外はこの本でしか読めないんじゃないだろうか?よくわからないが、ぼくが知ってるかぎりではそのはずである。夢枕…
ベランダで洗濯物を干していると、突風が吹いて持っていたTシャツが飛んでいってしまった。まだ水に濡れて重たいTシャツは、いきおいよく落下していく。目で追うおれは気もそぞろ。なぜなら、3時に優子ちゃんがウチにくることになっているからだ。 なにし…
原田宗典の作品はユーモラスなのがあるかと思えば、非常に鋭く怖い作品もあるから侮れない。 本書には五編の短編が収録されている。それでいて総ページ数が190ページほどなのだから、各編とて も短い。収録作は以下のとおり。 「空室なし」 「北へ帰る」 …
『そこは縫わないでと頼んだのに、縫われてしまった』 これは、本短編集の表題作である「結ぶ」の出だしなのだが、なんとも衝撃的な一行である。縫う?そこってどこ?読者の心を鷲掴みにするという意味で、これほどインパクトのある出だしをぼくは他に知らな…
本書は文庫になっている。角川ホラー文庫で「うろこの家」として刊行された。いまでは品切れみたいだが^^。もっとも近々の刊行では「皆川博子作品精華 伝奇―時代小説編」にあのデビュー作の「海と十字架」と一緒に収録されている。だがこの作品は、この単…
おれがお前の お前がおれの 首筋に刃をあてて 千寿祝いは亀の旗幟 やがて祀ろう英霊は 夕の空へ軍靴響かせ おれがお前の お前がおれの 刃を引けば すなどる人の浅ましさ 宇部に風たつ周防灘 ゆかり哀しき姫囲い おれがお前に お前がおれに たぎる血潮をふり…
1994年に実業之日本社から刊行されている短編集である。いまさらながらなのだが、どうしてこれが文庫化されてないのだろう。こんなに素晴らしい短編集なのに。 副題にもあるとおり、本短編集のコンセプトはわらべ唄。いつもいつも感心するのだが、よくこ…
ミステリ・フロンティアの最新刊である。これはちょっと興味を惹かれたので読んでみた。こういう歴史の真実を暴くという主題のミステリは過去にも沢山あって、みなさんもご存知のとおり「時の娘」「邪馬台国の秘密」などの傑作も数多く書かれているし、記憶…
本書で描かれるのは、善行の意味である。本書のエピグラフに「マタイによる福音書」が引用されているのだが、そこにはこんなことが書かれている。ちょっと長いが書き出してみよう。 「見てもらおうとして、人の前で善行をしないように注意しなさい。さもない…
不惑を過ぎた頃から、山味東五郎は左足に違和感を覚えるようになった。 歩いているときに、踵のあたりに鈍痛を感じるのである。しかし、それは常時ではなく、どうしたはずみか決まって首を右に曲げた拍子になるのである。まさか首と左足の踵が連動しているな…
戸川昌子といえば、まがりなりにも「大いなる幻影」で江戸川乱歩賞を受賞した才人である。といってもぼくはいまだに「大いなる幻影」も「猟人日記」も「火の接吻」も読んだことがないのだが、もしかしてこれは読む順番を間違えたかな?ね、そうでしょ、もね…
「本が好き!」の献本である。 ちょっとまって、みなさん。この表紙を見て、ダメだこりゃと思ったあなたも、ちょっと待っていただきたい。この、いかにもロマンスミステリっぽい表紙は、ここにこられるすれっからしのミステリマニアの方々には、まず手にとる…
凄まじい短編集だ。もうこの一語に尽きる。薄くてすぐに読めてしまう本なのに、世界が変わり確実に自分の中に重くずっしりしたものが沈殿していくのがわかった。 本書に収められている短編は、すべて詩句にインスパイアされている。もともとぼくは詩句には疎…
みなさんもご存知のとおり、7月は先月に続いて皆川博子熱狂マンスリーとなっていたので、自然彼女の 本をたくさん購入することとなった。もう、紹介済みの本もあるしこれから読む本もあるが古本で9冊7 作品。新刊本で2作品購入。まさしく憑かれたように…