2007-01-01から1年間の記事一覧
いよいよ今年最後の古本購入記になりました。 それにしても今年もたくさん買ったなぁ。数えてみたら古本262冊、新刊本34冊購入していた。 でも今年読んだ本は89冊だから、買ったうちの半分も読んでないことになる。これではいけませんね。 しかし、子…
この作者の作品では、もうひとつの日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した「ブラック・ジャック ・キッド」のほうが有名なのかもしれない。しかし、そちらはあまり食指が動かなかった。ぼくとしては この第一回パピルス新人賞を受賞した本作のほうが気…
「本が好き!」の献本第14弾。 なんとも形容に困る小説だ。出版社の紹介によれば『ミステリの興奮、SFの思索、ファンタジイの想像力――イギリスの新鋭作家によるジャンルを越えた話題作』ということなのだが、これは当たっているともいえるし的外れだとも…
またまた年間ベストの時期になりました。今年一年もなんとか時間をやりくりして遅々とした読書スピー ドながら、心に残る本に出会えました。では、さっそくいってみましょうか。 ■1位■ 「ヒストリー・オブ・ラヴ」二コール・クラウス/新潮社 「本が好き!…
その草庵は、森を抜けた小川の近くにあった。長い距離を歩いてきたぼくは、ノドがカラカラだったので 一杯の水をもとめて、入り口の引き戸を叩いた。 しかし中に人のいる気配はなかった。しばらく待ってまた戸を叩いてみたがやはり出てくる人はいない。 試し…
タイトルからも察せられるとおり本書には架空の通貨が登場する。読みながら、こんなことほんとにあるんだろうかと頭を傾げていたら、過去にも事例があったということなので驚いた。 『西郷札』といえば、ぼくはまっさきに松本清張の短編のタイトルを思い出す…
本作の感想にはいるまえに、今日『このミス』をパラパラ見てきたのでその感想を少し。 注目したのは『わが社の隠し玉』のコーナー。どうやら来春にはフロスト警部にまた会えるらしい。これはうれしい情報だ。なんせ前回の「夜のフロスト」が刊行されたのが2…
ランキングの季節になってきた。最近本屋で立ち読みしたのだが、PLAYBOYでここ10年のミステ リベスト100ってのをやっていて、意外だったのが山風の「明治断頭台」が1位だったってことだ。山 風命のぼくがいうのも何だが、この作品は大変よろし…
収録作は以下のとおり。 ◆「帰り道」 ◇「午砲」 ◆「必要」 ◇「解除反応」 ◆「火星人と脳なし」 ◇「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」 以前「海を失った男」を読んだときにも感じたことなのだが、若島正のセレクト作品には同じスタージョンでも少しマニア…
この本も以前に一度紹介した。二年前のことだ。 しかし、いま一度この本の凄さをここで力説したいと思う。本書が刊行されたのは1998年。憶えておられる方も多いかと思うが、本書はその年の『このミス』海外部門の1位に輝いた。別に『このミス』の評価を…
嘘をあやつる少女が男を殺した。男は天に目を向け、法悦の表情でこの世を去った。 その後少女は南に向かい、道端にいた野良犬を蹴り殺し絶頂に達した。 少女の行方は知れない。あとには男と犬の骸のみ。 ぼくはその光景を目の当たりにし戦慄と恐怖を味わった…
今年はブランドの生誕100周年なのだそうだ。 本書はそれを記念しての出版ということで、コックリル警部が登場する戯曲、短編、エッセイなどが収録されているファン待望の作品集ということになっている。だから、本書はブランドのファンが読んでこそ感慨深…
以前にも一度紹介したのだが、いま一度この奇跡の書といえる本をここに紹介したいと思う。 まさに、この本の出版は一つの事件だった。 本書はいままでにないタイプの作品だ。小説の概念が覆されるといえば大袈裟だろうか?やられてみれば何でもないことなの…
こういうアンソロジーは、やはり楽しい。なによりいろんな作家の作品が楽しめるところがお得である。 でも、それが自分の好みに合ったいい作品ばかりだという保証はないから、当たり外れも大きいのがアンソロジーの両刃の剣的な部分でもあるのだ。 本書はど…
ロリン・ブロウ、やさしい人 君の笑顔に癒される ロリン・ブロウ、芳しき人 優雅な振舞いに心をときめかせる ロリン・ブロウ、たおやかな君 健気で一途な、ぼくの恋人 ロリン・ブロウ、ロリン・ブロウ 何回でも言うよ ぼくは君を愛してる ゆるやかで、美しい…
はやく行かなきゃ、授業に遅れる。ぼくは急いでいるので普段はつかわないエスカレーターに乗る。 エスカレーターは建物の真ん中に位置し、ちょうど吹き抜けの中を昇る形で配置されている。 いつもは階段で昇り降りしているので、エスカレーターにのると景色…
以前トロワイヤの「サトラップの息子」を読んだのだが、そこではロシア革命の戦渦を逃れてフランスに亡命してきたトロワイヤ親子が描かれていた。この作品は、小説家トロワイヤの真価が遺憾なく発揮された傑作で、小説好きの方なら誰にでも胸をはってオスス…
山田風太郎に始まったぼくの読書癖は、ミステリに傾き当初はやはりライトな作品中心になっていったの だが、そのうち海外作品にも手を出すようになっていった。この辺の事情はすでに書いた。 しかし、そのうちミステリというジャンルの垣根を飛び越えて、本…
これは、なかなか楽しめた。なんといっても鉱山都市を舞台にしているところからして、いろいろと胡散臭い。まして、時代は昭和二十年代である。いってみれば、なんでもありなのだ。そういう観点でみると本書はファンタジーとしてのおもしろさも兼ね備えてい…
「私の父は、昭和十年に奈良の西大寺に生まれました。父が生まれたとき、空の一角に垂直に昇る巨大な雲が見えたので、名前を龍雲と名づけられたそうです。この名前は、父を一生苦しめることになるのですが、その当時は麒麟児じゃ麒麟児じゃといって、みんな…
もう十月も終わってしまった。今年は時間が過ぎるのがはやかったなぁ。そういえば、十月はぼくがこの ブログを始めた月でもあるんだなぁ。知らない間に二年が過ぎ、もう三年目に突入だ。このブログを始め た頃は右も左もわからない状態で、一歩を踏み出すの…
「本が好き!」の献本第11弾。 いきなりだが、ぼくは有栖川有栖氏の作品のあまりよい読者ではない。なぜならば、数多くある氏の作品のほとんどを読んだことがなく、かろうじて読んでいるのがこの江神シリーズだけなのだ。さらに重ねて告白するが、本作でこ…
南條残酷物を初めて読んだ。噂に違わずなかなかのものだった。本書に収録されているのは ◇ 「復讐鬼」 ◆ 「ハナノキ秘史」 ◇ 「裁きの石牢」 ◆ 「草履の墓碑」 ◇ 「第三の陰武者」 ◆ 「雷神谷の鬼丸」 の六篇である。この内「裁きの石牢」と「雷神谷の鬼丸」…
この本は読む前から少し身構えていた。なぜなら、本書の探偵役が引きこもり青年だということを知っていたからだ。どうもぼくはそういうネガティブなものが好きではないので肌に合うのか心配だった。 予想は的中して、一番目の作品を読み終わった段階でこれは…
黒蓉船は異様に大きい帆を張り出して、通常の三倍の速度で海原を南下していた。群れの中でもかなりの 泳ぎ手で名の通っているぼくでさえ追いつけないほどの速さだ。 なにをそんなに急いでいるのだろう? いつもなら寄り道してても、ゆっくり追いつけるくらい…
いまさらながら、ジャック・リッチーを読んでみた。本書が刊行されたのは二年前、いまではもう第三弾が刊行されていて日本でも知名度が定着した感がある。 本書は、日本オリジナル編集の短編集である。三百五十篇にも及ぶ短編を書き、邦訳作品も百二十篇ある…
翻訳物好きにはたまらない海外文学の秀作を精力的に紹介してくれている新潮のクレスト・ブックスの第一弾が本書とE・F・ハンセン「旅の終わりの音楽」だった。 のちに続く魅力ある作品群の先陣をきって刊行された本書は、しかし扱っているテーマのアンモラ…
ディヴァインはその昔、まだ現代教養文庫が「ミステリボックス」と銘打って翻訳ミステリを出していた頃に話題になった作家である。ミーハーなぼくは、その当時それだけ評判がいいならと「兄の殺人者」と「五番目のコード」の二冊は購入してあったのだが、例…
ある日、突然この世のものとは思われない素晴らしいメロディを思いついた。 ぼくはその素晴らしいメロディを忘れないうちに書きとめておこうと思った。 五線譜にゆっくり確実にメロディをおとしてゆく。音楽に詳しいわけではないので、もしかしたら正確で は…
ぼくもようやく落ち着いてきたのだろうか。 最近とみに思うのだが、古本屋に行って本を手に取り吟味する時間が増えた。 それは、どういうことかというと衝動買いが極端に減ったということなのだ。もちろん、懐具合が寒いと いうおそろしく現実的な経済的理由…