読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ローラン・ビネ「HHhH プラハ、1942年」

本書の素晴らしいところは、著者であるビネが歴史を掘りおこすにあたって、あくまでも史実に忠実であろうとした点だ。確かに過去の出来事は、自身がそれを体験した以外のことはすべてフィクションだといってもいい。なにしろそれを自分の目で見てないのだか…

伊集院静「羊の目」

私生児として生まれ、ヤクザに育てられた神崎武美。彼の戦前から現代までの修羅の道を描いた連作長編が本書「羊の目」だ。夜鷹の子として生まれた神崎は、浅草で売り出し中の侠客 浜嶋辰三によって育てられる。生みの親を知らない神崎は見ず知らずの自分を育…