読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

古本購入記 2007年12月度

いよいよ今年最後の古本購入記になりました。 それにしても今年もたくさん買ったなぁ。数えてみたら古本262冊、新刊本34冊購入していた。 でも今年読んだ本は89冊だから、買ったうちの半分も読んでないことになる。これではいけませんね。 しかし、子…

久保寺健彦「みなさん、さようなら」

この作者の作品では、もうひとつの日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した「ブラック・ジャック ・キッド」のほうが有名なのかもしれない。しかし、そちらはあまり食指が動かなかった。ぼくとしては この第一回パピルス新人賞を受賞した本作のほうが気…

スカーレット・トマス「Y氏の終わり」

「本が好き!」の献本第14弾。 なんとも形容に困る小説だ。出版社の紹介によれば『ミステリの興奮、SFの思索、ファンタジイの想像力――イギリスの新鋭作家によるジャンルを越えた話題作』ということなのだが、これは当たっているともいえるし的外れだとも…

2007年 年間ベスト発表!

またまた年間ベストの時期になりました。今年一年もなんとか時間をやりくりして遅々とした読書スピー ドながら、心に残る本に出会えました。では、さっそくいってみましょうか。 ■1位■ 「ヒストリー・オブ・ラヴ」二コール・クラウス/新潮社 「本が好き!…

森の奥の草庵

その草庵は、森を抜けた小川の近くにあった。長い距離を歩いてきたぼくは、ノドがカラカラだったので 一杯の水をもとめて、入り口の引き戸を叩いた。 しかし中に人のいる気配はなかった。しばらく待ってまた戸を叩いてみたがやはり出てくる人はいない。 試し…

池井戸潤「架空通貨」

タイトルからも察せられるとおり本書には架空の通貨が登場する。読みながら、こんなことほんとにあるんだろうかと頭を傾げていたら、過去にも事例があったということなので驚いた。 『西郷札』といえば、ぼくはまっさきに松本清張の短編のタイトルを思い出す…

アーサー・ブラッドフォード「世界の涯まで犬たちと」

本作の感想にはいるまえに、今日『このミス』をパラパラ見てきたのでその感想を少し。 注目したのは『わが社の隠し玉』のコーナー。どうやら来春にはフロスト警部にまた会えるらしい。これはうれしい情報だ。なんせ前回の「夜のフロスト」が刊行されたのが2…

古本購入記 2007年11月度

ランキングの季節になってきた。最近本屋で立ち読みしたのだが、PLAYBOYでここ10年のミステ リベスト100ってのをやっていて、意外だったのが山風の「明治断頭台」が1位だったってことだ。山 風命のぼくがいうのも何だが、この作品は大変よろし…

シオドア・スタージョン「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」

収録作は以下のとおり。 ◆「帰り道」 ◇「午砲」 ◆「必要」 ◇「解除反応」 ◆「火星人と脳なし」 ◇「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」 以前「海を失った男」を読んだときにも感じたことなのだが、若島正のセレクト作品には同じスタージョンでも少しマニア…