読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

法条遥「リライト」

大地が揺らぐような、世界が崩壊するような大きな瓦解的変化に足元をすくわれる。ミニマムからマキシマムへ、個々人の特定された世界からいきなりの異次元へ。本書はそんな陥穽につき落とされるような衝撃によって幕を閉じる。 一九九二年七月一日に転校生と…

皆川博子「アルモニカ・ディアボリカ」

前回の「開かせていただき光栄です」の事件から5年。いまは盲目の判事ジョン・フィールディングの元で働いている解剖医ダニエル・バートンのかつての若き弟子たち。犯罪を抑止する目的の新聞を作っている彼らのもとに奇妙な屍体の身元情報を得るための広告…

夏目漱石他「もっと厭な物語」

やはり出ました「厭な物語」の第二弾。前回のアンソロジーがかなり好評だったってことだねこれは。 ちょうど一年ぶり?今回は国内の作家も混じっての厭な物語。ラインナップは以下のとおり。 『夢十夜』より 第三夜 夏目漱石 私の仕事の邪魔をする隣人たちに…

映画の魔

タイトルは忘れたが、男が迷子になった娘を探して夜の街を走りまわっている映画があった。最初はすぐに見つかると思っていたのにまたたく間に一時間が過ぎ、次第に焦りが出てきて必死になってゆく。主演の俳優の表情が苦悶にみちていて、観ているぼくもつい…