読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

海外ミステリ

C・J・ボックス「鷹の王」

今回は、ジョーではなく彼を陰ながら助けてきた元特殊工作員のアウトロー、ネイト・ロマノウスキが主役なのであります。我慢できなくて続けて読んじゃいました。この分でいくと新刊刊行に追いつくのも目に見えてますね。 で、本書なのだがこれがもうああた、…

C・J・ボックス「冷酷な丘」

・ 久しぶりの猟区管理官でございます。安定のリーダビリティなのでございます。で、ここで本書のあらすじを簡単に紹介するのがスジなんだろうけど、このシリーズ読んだことない人にとっちゃあそんなもんどうでもよくね?と勝手に判断して、敢えてそれをせず…

C・J・ボックス「狼の領域」

続けて読みました。だっておもしろいんだもの。で、ぼくがこのシリーズを読みたいと決意したのが本書なのだ。本書が刊行された当時(2016年)、ところどころでこのシリーズのおもしろさとその中でも本書の素晴らしさを絶賛する声が聞こえたのだ。 今回は、ほ…

C・J・ボックス「ゼロ以下の死」

現代の西部劇なの?そうなのかあ。あまりそういうのは意識してないんだけど、西部劇って、こういうのかな。熱い男の激情。血と硝煙。大自然の厳しさと素朴な生活。追う者と追われる者。 でも、毎回思うんだけどテーマが揮ってるんだよね。今回は環境問題。で…

ハーラン・コーベン「ランナウェイ」

娘が行方不明になる。それも薬物中毒者となって。娘の行方を探す両親。しかし、その途上で母は撃たれて昏睡状態となる。孤軍奮闘する父親は、果たして娘を見つけることができるのか? という感じのミステリ・サスペンスもしくはクライムノベルなんだけど、こ…

コリーン・フーヴァー「秘めた情事が終わるとき」

秘めた情事が終わるとき (ザ・ミステリ・コレクション) 作者:フーヴァー,コリーン 発売日: 2019/12/19 メディア: 文庫 あまりこういうラブロマンス的な話は読まないのだが、なんかザワザワしてるのを知って手にとってみた。冒頭からいきなり頭が踏み潰されて…

C・J・ボックス「復讐のトレイル」

復讐のトレイル 狩猟区管理官シリーズ (講談社文庫) 作者:C.J.ボックス 発売日: 2019/06/28 メディア: Kindle版 続けて読める幸せを噛みしめた。でも、ここへきてさらに状況は悪化しているんですけど。だって、この巻でジョー自身の身辺そのものが脅威に…

C・J・ボックス「フリーファイア」

フリーファイア (講談社文庫) 作者:シー.ジェイ・ボックス 発売日: 2013/06/14 メディア: 文庫 安定のシリーズでございます。馴染みの登場人物たち、ブレないジョーの信念、毎回新たな切り口を見せるストーリーとどこをとってもおもしろ要素満載なのである。…

ドン・ウィンズロウ「ザ・ボーダー(下)」

ザ・ボーダー 下 (ハーパーBOOKS) 作者:ドン・ウィンズロウ 発売日: 2019/07/17 メディア: Kindle版 下巻にうつって、物語は一気に減速する。この印象は、あくまでも個人的なものなのだが、それがすべてなので書かずにおれなかった。麻薬カルテル撲滅という…

ドン・ウィンズロウ「ザ・ボーダー(上)」

ザ・ボーダー 上 (ハーパーBOOKS) 作者:ドン ウィンズロウ 発売日: 2019/07/17 メディア: 文庫 長く続いた麻薬戦争だ。泡沫でしかないぼくはまるで関係ない場所で、この地獄の沙汰を静かに辿っている。同時代の同じ世界で日々を過ごすぼくとあまりにも…

C・J・ボックス「逃亡者の峡谷」

逃亡者の峡谷 狩猟区管理官シリーズ 作者:C.J.ボックス 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/12/27 メディア: Kindle版 このシリーズは、ゆっくり読んでいこうって言ってたのに、もう読んじゃった。それというのも、本書は、ジョー・ピケットシリーズ…

C・J・ボックス「裁きの曠野」

裁きの曠野 (講談社文庫) 作者:シー.ジェイ・ボックス 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/05/15 メディア: 文庫 やあ、ジョー、また会ったね。そう言ってぼくは本を開いた。彼は相変わらず忙しそうで、相変わらず頑固者だった。今回は、地元を掌握する何…

陳浩基「世界を売った男」

世界を売った男 (文春文庫) 作者:陳 浩基 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/11/09 メディア: 文庫 ミステリマニアのハートをくすぐるミステリっての?とにかく、本書はそういうミステリマインドにあふれた作品となっている。 だって、印象的なプロロ…

トマス・ハリス「カリ・モーラ」

カリ・モーラ (新潮文庫) 作者:トマス ハリス 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/07/26 メディア: 文庫 実は「ハンニバル・ライジング」読んでないんだよね。本書は全く別物だからどうでもいいんだけどね。 カリ・モーラとは、本書の主人公の名前。凄惨…

フェルディナント・フォン・シーラッハ「刑罰」

刑罰 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2019/06/12 メディア: 単行本 シーラッハの短編作品は、独特の間と感覚で完結する。彼の作品を読んだことのない人に向けて説明すると、少々困難をともなう気もするが、…

ハーラン・エリスン「愛なんてセックスの書き間違い」

愛なんてセックスの書き間違い (未来の文学) 作者:ハーラン・エリスン 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2019/05/25 メディア: 単行本 ここんとこ続いているエリスン本の刊行は、ほんと目覚ましいものがあるよね。関連本としてすごく驚いたのが「危険な…

C・J・ボックス「震える山」

ジョー・ピケットの猟区管理官シリーズ邦訳第4弾でございます。(第2作が邦訳されていないので、本当は第5弾ね)。今回は自殺したジャクソンの猟区管理官の代理を務めることになったジョーの活躍を描く。まず、根本にあるのはその自殺が本当なのかどうか…

スティーヴン・キング「任務の終わり(上下)」

「ミスター・メルセデス」、「ファインダーズ・キーパーズ」に続く『ホッジズ三部作』の最終巻であります。前回「ファインダーズ・キーパーズ」のラストで、あら、まさか、そっちに話がシフトしちゃうんですか!って驚きのまま終わってしまったのが、つい昨…

ドン・ウィンズロウ「ダ・フォース(上下)」

「犬の力」や「カルテル」のウィンズロウを期待すると肩透かしもいいところだ。ニューヨークを舞台にした悪徳警官物というカテゴリで認識して読み始めたら、え?ウィンズロウどうしたの?といままで快調に飛ばしてきたハイブリットな車がギアも満足にはいら…

マルク・パストル「悪女」

冷たさに驚いた。国が違うから?日本とスペインの温度差?文化の違い?なんとも形容しがたい感覚だ。 物語は実話を元にしたものだそうで、概要だけみればいったいどれだけ凄いサイコキラーなんだと思ってしまうが、本書を読んだところその方面のサプライズは…

C・J・ボックス「神の獲物」

今回は驚いた。だって、キャトルミューティレーションですよ?あ、キャトルミューティレーションご存じ?主に牛なんだけど、屋外で飼われている家畜の全身の血液が抜き取られていたり、身体の一部がきれいに切り取られたりして死んでいる現象を指します。ど…

C・J・ボックス「凍れる森」

アメリカならではの魅力に満ちたシリーズなのだ。苛酷な自然、荒ぶる気象、誰もが持っている銃そして猟区管理官ジョー・ピケット。このシリーズの魅力は、日本では成立しない基盤の上に成り立っている。 しかし、そこで描かれるドラマは、そんな程遠い異国の…

C・J・ボックス「沈黙の森」

遅れてきた読者でございます。だって、もうシリーズ9巻刊行されてるんだもの。でも、ぼくは用意周到だから、この一巻目を読んでいる間に他の巻全て集めました。そんな早まったことして、一気に買って、面白くなかったらどうすんの?と心配してくれた奇特な…

陳浩基「13・67」

短編集なのだが、かなり読み応えがあった。舞台は香港。行ったこともないし、その歴史にも疎い。言ってみれば、全く馴染みもないし、グローバルな文化の成り立ちが内包する混沌とした秩序のなさにも途惑うばかりだ。 にも関わらず、この最初から反発しか感じ…

ジャック・ケッチャム、リチャード・レイモン、エドワード・リー「狙われた女」

ジャック・ケッチャムと今は亡きリチャード・レイモンそして彼らの親友だという日本ではまだ知名度の低いエドワード・リーの三人がそれぞれ『狙われる女性』を描いた作品集なのであります。 読み始める前は、弱者としての女性が何者かに狙われ窮地に立たされ…

スティーヴン・キング「ファインダーズ・キーパーズ(上下)」

キングの本格ミステリー第二弾ということで、巨匠のクライムサスペンスなのでございます。相変わらず物語をグイグイ引っぱってゆく手腕はさすがと唸ってしまう。しかし、それが筋を追うだけの薄っぺらいものでないのはあたりまえ。キングって何歳になっても…

R・D・ウィングフィールド「フロスト始末(上下)」

フロストとの出会いは、ぼくがまだ結婚する前の1994年だった。このシリーズとウィンズロウのニール・ケアリーのシリーズが、いつも追いかけっこする形で刊行されていたような記憶があり、ぼくはこの二つのシリーズが刊行されるのをいつも心待ちにしてい…

スティーヴン・キング「ミスター・メルセデス(上下)」

キング御大初のミステリ長編なのであります。といっても、何がどう変わっているかといえば、何も変わらずいつものキングなのであります。ま、本書が正攻法のミステリとして書かれた作品として大きく取り上げられた上にエドガー賞まで獲ってしまったから『初…

スティーヴン・キング「ジョイランド」

正直、一時のキングにはときめいていなかったのだ。そう、丁度「骨の袋」が刊行されたころからだろうか?その後に出た「トム・ゴードンに恋した少女」、「アトランティスのこころ」、「ドリームキャッチャー」、「セル」までまったく読まなくなってしまった…

ドン・ウィンズロウ「ザ・カルテル(下)」

本書で描かれるエピソードはもちろんフィクションだ。しかし、この物語には数々のモデルがある。カルテルに襲撃され満身創痍になり人工肛門をつけて殺されるまで勇敢にも執務を遂行した女性市長や、見せしめのために顔の皮を剥がされ手足をバラバラに切断さ…