読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2014年 年間ベスト発表!

今年は、いままで30年以上本を読んできた中で一番読書量の減った年だった。32作品、33冊だって。平均したら月3冊読んでないってことだ。これは由々しき事態ですよ。本自体もあまり買わなくなったし、以前は毎週行っていたブックオフも月に一度くらい…

アンドリ・S・マグナソン「ラブスター博士の発見」

作者はアイスランドで本国の文学賞を3回も受賞しているそうで、かなり有名な作家なのだそうだ。一読して驚いたのが、その奇想っぷり。メインのテーマであるラブスター博士の大発明にはじまり、宇宙に打ち上げられて流れ星となってふりそそぐ遺体や、もしあ…

ジェフ・カールソン「凍りついた空 エウロパ2113」

未知との遭遇物としてのこちらの期待を裏切る展開に少しとまどった。どういうことかを説明して本書の感想としたい。 22世紀初頭の人類は宇宙に進出して、本書の舞台となる木星の衛星エウロパにも複数の探査チームが拠点を定め氷の世界で調査を続けていた。…

柴田錬三郎「もののふ」

死がすぐそばに寄りそっていた激動期の武士たちの生き様が描かれている短篇が12編。時代もバラエティに富んでいて、源平から戦国、幕末を経て明治まで。興味深いエピソードが次々と語られてゆく。表題作の「もののふ」と「戦国武士」、「武士気質」の三編…

ジュンパ・ラヒリ「低地」

ラヒリの描く人物は、そこに居る。ページを開けば、彼らの息遣いや体温を感じる。字面を追うだけでそれだけの感覚を想起させるラヒリの筆遣いには毎回驚いてしまう。 スパシュ、ウダヤン、ガウリ、ベラ。本書を読み終えたいま、彼らはぼくの中では決して架空…