2011-01-01から1年間の記事一覧
いよいよ2011年も終わりですね。というわけで恒例の年間ベストでございます。今年は一作品とし てカウントして69作品。昨年より減っております。これという理由はないんですが、あまり本の読めな い年だったように思います。もしかしたら「ユリシーズ…
とうとう読了した。このⅣ巻は他の巻が本文400~500ページなのに対して、388ページと少なめだったのである。だからいつもよりはやく読み終わることができた。この巻には第三部の16、17、18章があてられており、それぞれのタイトルは以下のとおり。 16…
舞台はフランスの片田舎。近くに有名なラスコーの洞窟壁画のある風光明媚な村サンドニ。住民はみんなが顔見知りで、誰が何をしたかなんて噂がすぐに村中をかけまわる。主人公である村でただひとりの警官兼警察署長のブルーノはこの村とそこに住む人々を心か…
本書は角川書店の読者モニターに当選して読ませてもらった。あの平山夢明の新刊だということで思わず飛びついてしまったのだ。 本書には七つの短編が収録されている。タイトルは以下のとおり。 「或るはぐれ者の死」 「或る嫌われ者の死」 「或るごくつぶし…
本書は機甲兵装というパワード・スーツ(二足歩行型有人兵器)を導入した警察の活躍を描くシリーズの第二弾である。まあいってみればちょっと小さめのロボットがでてくるわけだ。だから本書にはじめて接する人はおそらく半分SF寄りの近未来サスペンスみた…
今回の夢記事は、ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」に触発されて、少し真似事をしてみようと無謀な挑戦をした結果の産物なのであります。だから本来なら「ユリシーズ」と同じように訳注をつけて書くべきなのだけれども、前回のアップ時には書くだけで力…
ジミー・ペイジのことはあまり好きじゃない。長い髪と尖った鼻が魔女のようで気味が悪い。ただそれだけのことで人の嫌悪は決まってしまったりする。同様に些細なことが理由で物事の成否も決まってしまう。 なんだ、ここは。虫が多いな。それに力の抜けてしま…
心の奥底から感情を揺さぶられるような読後感だった。茫然自失とまではいかないが、確かに心はどこかにもっていかれたかのような状態になった。以前デビュー短編集の「シェル・コレクター」を読んだときもその抜きんでた才能に驚いたのだが、本書を読んでド…
山田風太郎の描きだす世界はよく『魔界』に例えられるが、それはいかがなものかとぼくは思う。確かに幻妖、怪奇なんて文句が似合いそうな雰囲気はあるのだが、まったく未知の人が風太郎作品を思い描くとき、十把一絡げに決まり文句のように『魔界』をもちだ…
角川文庫の新刊で「山田風太郎全仕事」という本が出た。ぼくみたいな風太郎マニアには決して見過ごすことのできない本だ。内容はまったく目新しいものはなく、あらためて知る新事実もない。でもやはり手元に置いておきたいというのがファン心理というものだ…
現在アジア圏で一番ノーベル賞に近い作家といわれている莫言の初期の頃の中篇二篇を収録。(ノーベル賞受賞しましたね) 「白檀の刑」を読んだときも感じたのだが、莫言という作家は一種の極限状態の中での食と暴力をことさら強調して描く作家で、そうするこ…
よくやったと自分を褒めてやりたい。そう思ってしまうほどに本巻の最初の章には苦戦した。ま、そのことは追々語ることにして、とりあえず本巻に収録されている章は以下のとおり。 第二部(続) 14 太陽神の牛 15 キルケ そう、本巻に収録されている章は…
家の近所に住む細くて色の黒いおじいさんは、ニワトリを飼っていた。ぼくはよくそこに遊びにいき、おじいさんがニワトリをつぶすところを見ていた。 大きな切り株の上にニワトリを押さえつけ、一刀両断に首を刎ね、すぐさま足をもって逆さに吊るす。そのとき…
あのガリヴァーが有名な旅行記の続編を書いていたというのが本書の設定である。日本にやってきたガリヴァーが徳川綱吉の側用人である狩場蟲斎(かりばちゅうさい)となんとも不思議で奇怪な冒険を繰り広げるというおはなし。 ノッケから偽書としての体裁が完…
確かに、人は疎外感と付き合いながら成長していくものである。誰であれ絶対一度くらいは『自分は他人(ひと)とは違う』と暗示にも似た思いにとらわれたことがあるはず。もちろんぼくも例外ではなかった。自分の価値観を他人のそれと重ねあわせて、歯がゆい…
久しぶりの島荘なのである。前回「写楽 閉じた国の幻」を挫折したので、完読としては「ねじ式ザゼツキー」以来だ。もちろん島荘の本はその間、何冊も刊行されている。ただ食指が動かなかっただけだ。 だがこの「ゴーグル男の怪」はその奇怪なタイトルと影山…
またまたゾンビなのである。ほんとゾンビ物には目がないぼくなのである。しかもなんとあの松尾芭蕉が出てくるというではないか。表紙をみれば、ラノベ街道まっしぐらのかなりポップな仕上がりなので、普通じゃないのはわかっていたがまさかこんな事になって…
いまになってようやく『魔法少女まどか☆マギカ』を観ている。しかし、これは話題になっただけあって(なんと第32回・日本SF大賞の候補作にノミネートだって!)すごい話なのだ。魔法少女という可愛いヒロイン物の定番を素材にし、絵柄もいかにもパステル…
こんな夢をみた。 実家の母から電話。 「今日、あんた宛に電話があってんけどな」 「ほう、誰から?」 「ヴェンデッタってとこ」 「は?なんて?」 「ヴェンデッタ」 「何それ?」 「わからん。ヴェンデッタっていうてた」 「それは何屋さん?」 「わからん…
しろねこさんの記事に触発されて、ぼくもこの『Yahoo!ブログのクローズアップテーマ』で記事を書いてみたいと思う。読書の秋、おすすめの読み物は?ということなのだが、過去にミステリ作品や短編集のオススメ記事を書いたことがあるので、今回は海外文学の…
作家 吉村昭が癌を発病し、息をひきとるまでを妻の視点で描いた作品。舌に痛みを感じたのがはじまりだった。舌癌を発病したのである。身内を多く癌で亡くしていた吉村氏は自身の健康にも気をつかい、とりわけ癌には気をつけていた。しかしその甲斐もなく癌に…
ようやく第二巻読了なのである。これで丁度折り返し地点となる。あいかわらず凄まじい訳注の嵐で、あっちこっちとページを繰るのがとても忙しい。かといって訳注を見たところで、その半分も理解できなかったり、ダブリンの市街の説明だったりするからほとん…
英国お得意のちょっと悪趣味で普通じゃないミステリ。悪趣味といったら語弊があるかもしれない。だってここで描かれる様々な事柄って、人間にはつきものなのだから。それがモンティパイソンに連なるイングランド式ブラックジョークで少し強調されているのが…
こんな夢をみた。 財布を拾ったぼくは、交番に届けなくてはと現実世界では決してやらない義務感にとらわれる。そこは馴染みのない町。いつか来たことがあるのだが、それは遠い昔なのでよく覚えていない。だから交番がどこにあるのかもわからない。 とりあえ…
毎日新聞の日曜のお楽しみ『今週の本棚』で「この人・この3冊」というコーナーがあるのだが、今回は佐藤亜紀選で皆川博子の3冊が選ばれていて狂喜した。ぼくにとってこの二人の組み合わせは最強だ。まるで夢のようだと貪るように読んだのだが、佐藤亜紀の…
ロンドン郊外の高級住宅地で未曾有の事件が起こる。そこに居住する10世帯すべての大人32人が殺され、すべての子ども13人が忽然と消失したのである。 警察の捜査では事件の真相は解明されなかった。殺害方法がわかっていても、その動機や子どもたちの消…
脛に傷もつ身のフィル・ハントは小さな牧場を経営するかたわら、麻薬の運び屋として生計をたてていた。子宝に恵まれることもなく妻と二人細々と暮らしている彼はもう五十四歳、やり直しのきかない人生に諦念を感じていた。しかし、彼はいままで一度も仕事を…
主人公であるアーノルド・スピリット・ジュニアは北米先住民(インディアン)のスポケーン族の保留地で育つ少年だ。生まれた時に水頭症で手術をするという生死の境を生き抜いたが、後遺症で言葉の発達が遅れたりして、よくいじめられる子になってしまう。 そ…
最近、「ザ・インタビューズ」が流行っているのをみなさんご存知だろうか?ぼくはまだ登録してないのだが、ここに登録すると登録している人にいろんなインタビュー(質問)ができるのである。もちろん自分もインタビューを受けることもある。いろんなジャン…
1 冬と共に殺し屋は街にやってきた。それは街がまだひっそりと身を潜めている夜明け前のことだった。そのウィッチャムという名の殺し屋は、とりあえずダイナーに飛び込み温かい朝食にありついた。他に客はいなかった。ジューシーな炙った豚の骨つきあばら肉…