読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

東野圭吾「眠りの森」

というわけで、加賀恭一郎なのである。つい最近、ゆきあやさんの記事でシリーズ物にたいする意見としてシリーズ物を最初から読まないのはリサーチ不足だと言い切ってしまったのだが、その禁忌を思いっきりやっちゃってるのがこのシリーズなのである。エラソ…

ジム・ケリー「水時計」

新人によるイギリス発の正統派本格ミステリなのである。おおまかなアウトラインは以下のとおり。 イギリス東部の町イーリーで、氷結した川から引き上げられた車のトランクから死体が発見される。これが謎に満ちた死体で、頭部を銃で撃ちぬかれた上に首が折ら…

本多孝好「チェーン・ポイズン」

記事にはしてないのだが、この人は以前にデビュー作の「MISSING」を読んだことがあった。なかなかせつない雰囲気があって好印象だったのだが、それ以後この人の本を読むことはなかった。 今回べるさんの記事で興味を持って読んでみたのだが、なるほど…

地下街の放火魔

250ccのバイクに乗って地下街に下りてゆく。階段を下りきったところで放火魔に遭遇。相手はオードリーの春日じゃないほうにソックリな奴だ。放火魔は右手に100円ライターを持ち、左手にジッポー・オイルの缶を持って、ぼくに火をつけようとしてくる。…

皆川博子「奪われた死の物語」

これはなかなか素晴らしいミステリですよ。何がスゴイって、あらすじをうまく説明できないくらい入り組んでいるところが一筋縄ではいかないおもしろさに溢れている。それでもがんばって、ちょっと説明してみようか。 本書は二段構えの構成になっている。ある…

ジョージ・R・R・マーティン「洋梨形の男」

何回も書いてるが、マーティンの短篇集「サンドキングス」はイマイチだったのだ。マーティンが得意とする奇想スレスレのとんでもない発想が少し的外れであまりピンとこなかった。これはひとえに、ぼくの読解力のなさがまねいた結果なのかも知れず、いま読め…

ジョー・R・ランズデール「ババ・ホ・テップ  現代短篇の名手たち 4」

ランズデールといえば、ぼくの中ではずっと前から短篇の名手だった。彼の作品をはじめて読んだのは新潮文庫から出ていたホラー・アンソロジー「ナイトソウルズ」に収録されていた「大きな岩のある海辺で」だった。キャンプに来ていた家族を襲う未曾有の怪異…

角田光代「八日目の蝉」

愛人の生まれたばかりの子どもをさらって、逃亡する女。このシチュエーションだけを抜き出せば、同情すべきは子どもをさらわれた方の親である。だが、本書を読むうちに読み手の心には逃亡する女とさらわれた子が二人で幸せに生きてゆければいいなと願う気持…

詠坂雄二「遠海事件  佐藤誠はなぜ首を切断したのか?」

この人、みなさんご存知でした?綾辻行人、佳多山大地の激賞を受けて「リロ・グラ・シスタ」で2007年にデビューした新人さんで、この「遠海事件」は二作目。現在第三作が刊行されたばかり。 ぼくも、たまたま「読書メーター」を見てまわっているときに見…

ジャック・カーリイ「百番目の男」

驚愕の真相だということで、多大なる期待を寄せて読んでみたのだが、なるほどこの真相には驚いた。 前評判を踏まえた上での驚愕なので、これ、真っ白な状態で読んでいたらさぞかし驚いたことだろう。 何がスゴイといって、こんなことを思いつく発想に感嘆し…

東野圭吾「新参者」

加賀恭一郎のシリーズについては、まったくの『新参者』でございます。 でも、読んじゃった。東野氏が直木賞を獲った直後に刊行された「赤い指」を読んで、初めて加賀刑事を知ったのだが、はっきりいって堂に入った名探偵ぶりは感心したものの、話自体がいさ…

ヘレン・マクロイ「暗い鏡の中に」

マクロイの二冊目として本書を選んだ。こちらは早川文庫のマクロイ絶版本である。創元のマクロイ復刊の反響が良ければこちらも復刊されるんじゃないかと思うのだが、どうだろう。 実をいえば、本書のことは随分以前から知っていた。1992年にカタログハウ…

古本購入記 2009年9月度

あのね、キングの「悪霊の島」が、いまだに行き着けの本屋に入荷されないのね。だから実物もまだ見れ てない状態なのでございます。いつも不思議に思うのだが、欲しいと思う本に限ってなかなか入荷されな いのだ。先月も「幽霊の2/3」を手に入れるために…