読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

伝奇小説

荒山徹「大東亜忍法帖」完全版

ようやく、ようやくこの作品が完全版として復活した!どこかが必ずちゃんと読めるように刊行してくれるはずと信じてよかった。なんとなれば、本書は上巻が2016年に刊行され、その三ヶ月後に下巻が刊行される予定だったのが、突然出版社からの結末の改変要求…

山田風太郎「忍法鞘飛脚」

まずは収録作をば。 「忍法鞘飛脚」 「つばくろ試合」 「濡れ仏試合」 「伊賀の散歩者」 「天明の隠密」 「春夢兵」 「忍者枝垂七十郎」 「忍者死籤」 それぞれなかなか趣向を凝らしていて飽きさせないところはさすが山風。これらの作品を執筆したのが四十代…

山田風太郎「八犬伝(上下)」

八犬伝(上)―山田風太郎傑作大全〈20〉 (広済堂文庫) 作者:山田 風太郎 発売日: 1998/03/01 メディア: 文庫 八犬伝(下)―山田風太郎傑作大全〈21〉 (広済堂文庫) 作者:山田 風太郎 発売日: 1998/03/01 メディア: 文庫 ぼくが読んだのは朝日新聞社の単行本なん…

山田風太郎「自来也忍法帖」

自来也忍法帖 (1981年) (角川文庫) 作者:山田 風太郎 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1981/04 メディア: 文庫 正直いって、本書は忍法帖の中では下の下の作品なんだろうね。風太郎自身の評価によれば本作はC評価(ちなみに、この作者自身の評価は読者の…

山田風太郎「柳生忍法帖(上下)」

柳生忍法帖 上 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫) 作者:山田 風太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2012/03/24 メディア: 文庫 柳生忍法帖 下 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫) 作者:山田 風太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 201…

荒山徹「高麗秘帖―朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ」

豊臣秀吉が行った最大の愚行である朝鮮出兵。1592年に、発動したこの大規模侵略は、朝鮮水軍率いる李舜臣の活躍で撤退を余議なくされた。三年にも及ぶ講和交渉は決裂し、秀吉の号令のもと1597年ふたたび出兵することになる。これが世にいう『慶長の…

高橋克彦「総門谷」

この本って最近読まれてないの?こんなに凄い本てそうそうないよ?何してるの、みんな読まなきゃ。これって日本が誇る傑作伝奇小説なのだ。あの半村良の「石の血脈」に匹敵する面白さなのだ。ってか、最近じゃ「石の血脈」も読まれてないか?伝奇小説自体も…

武内涼「忍びの森」

天正伊賀の乱において、織田の軍勢によって滅ぼされた伊賀者の残党が、逃げた先で立ち寄った山奥の荒れ寺は、一度その中に入ると決して出ることのかなわない魔境だった。その寺には五体の妖怪が棲みついており、彼らの策略によって寺に閉じ込められた七人の…

牧野修+田中啓文「郭公の盤」

この二人の本は読んだことがなかったので本作のどのパートがどちらの受け持ちなのかなんてのはよくわからなかったが、壮大な伝奇物として最後まで飽きることなく愉しめた。 タイトルにもあるとおり本書の要は『郭公の盤』なのである。古事記の時代から存在す…

国枝史郎「神州纐纈城」

この本の存在を知ったのは小林信彦編の「横溝正史読本」でだったと思うのだが、ちょっと記憶が定かではない。でも、横溝正史が半村良、尾崎秀樹とともに講談社の国枝史郎伝奇文庫全28巻の編集委員に名を連ねていることからしても、おそらく間違いではない…

山田風太郎「室町お伽草紙」

これが伝奇物なのかというと、ちょっと頭をかしげてしまうのだが、時代物に区分けするのもなんだかしっくりこないし、一応この書庫に分類したいと思う。 だって、この話まったくありえない話なのだ。なんてったって今ブームになっている戦国武将のオールキャ…

中島かずき「髑髏城の七人」

話題になっている『いのうえ歌舞伎』というものを一度観劇したいものだと思っているのだが、それもなかなかままならない。いまでは看板役者となった古田新太の怪物じみた演技をこの目で見てみたい。なんとも熱い登場人物たちの掛け合いをナマで感じたい。本…

山田正紀「神君幻法帖」

この佐伯俊男の魅力溢れる表紙と、山風忍法帖を想起させる魅惑的なタイトルにすっかりヤラれてしまい思わず読んでしまった。著者が山田正紀というのが少し不安要素だったのだが、圧倒的な懐かしさと興奮には抗しきれなかったのだ。だが読んでみればわかるが…

宇月原晴明「天王船」

本書は短編集である。「黎明に叛くもの」のC★NOVELS版は、四冊に分冊されて出版されたのだが、そのとき外伝として各巻に書き下ろされた短編を一冊にまとめたのが本書なのである。「黎明に叛くもの」外伝ということだが、これまでの宇月原作品すべてに…

今野敏「蓬莱」

今野敏はいまひとつの作家ではないか?作品数は多いがこれといった代表作もなく、ブレークしたこともない。かくいうぼくも彼の作品は本作しか読んだことがない。今野敏はこの作品でブレークするはずだったのだ。しかし、そこまでにはいたらなかった。この作…

高橋克彦「刻謎宮」

これは、夢のある話だ。久しぶりにわくわくしながら読んだ。 あの「総門谷」のようなぺダントリックなおもしろさとはまた違ったおもしろさだった。ギリシャ神話は昔から大好きで、どうして好きになったのかといえそれはひとえにレイ・ハリーハウゼンのおかげ…

宇月原晴明「黎明に叛くもの」

正月に読んだ「聚楽 太閤の錬金窟」がことの他よかったので、本書を読んでみた。で、「聚楽 太閤の錬金窟」が風太郎の「妖説太閤記」へのオマージュだったのにたいして、本作は司馬遼太郎の「国盗り物語」へのオマージュとなっている。 恥ずかしながら、「国…

国枝史郎「八ヶ嶽の魔神」

物語が自在に変化し、まったく先がよめない。型にはまらないというか、大正の時代にこういう話が万人に受け入れられたのが不思議なくらい今でも十分に通用する完成された物語なのだ。妖美幻想でありながらも、物語の骨組が単純なため、とてもおもしろく読了…

「復讐奇談安積沼/桜姫全伝曙草紙」須永朝彦編訳

江戸の伝奇小説である。果たしてぼくに読むことできるんだろうかと、おっかなびっくりという感じで読み始めたが、たちまち引き込まれてしまった。 須永朝彦氏の現代語訳でこなれた文章の響きが心地よい。思わず声に出して読んでみたくなる文章だ。 本書には…

宇月原晴明「聚楽 太閤の錬金窟」

本書は「信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」で、第十一回日本ファンタジー大賞を受賞した著者の受賞第一作である。 デビュー作を飛び越えて本作を先に読んだのだが、いやあ驚いた。大傑作ではないか。本書で描かれるのは、信長、秀吉、家康の三人の…

山本弘「神は沈黙せず」

この本、ぼくはおもしろく読んだ。 神とは何ぞや?という長年の疑問に、一つの回答を与えてくれたことだけでも賞讃に値する。 それにしても、すごい情報量だ。 UFO、超能力、ポルターガイスト、空の軍隊、聖書、臨死体験、人工知能、進化論、宇宙科学、幽…

荒俣 宏「レックス・ムンディ」

かつて、これほど神を冒涜した物語があったでしょうか。 本書は、日本だからこそ受け入れられる物語だとおもいます。 「総門谷」を読んだ時と同じ興奮をあじわいました。 南フランスの寒村レンヌ・ル・シャトーは、昔から聖書にゆかりのある土地でした。事実…