読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

絲山秋子「ばかもの」

この人の本は本書が初めてなのだが、もう一発で気に入ってしまった。いま巷で話題の「妻の超然」も是非読みたいものだと、思わず鼻息が荒くなってしまったほどなのである。 いわゆる本書で描かれるのは一組の男女の恋愛模様である。だが、これがその『恋愛』…

大森望編「ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選」

早川のSFマガジン創刊50周年記念アンソロジー第二弾。 第一弾「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」はあまりそそられなかったので未読なのだが、本書は時間SFテーマの逸品が並んでいるということで、なんとも我慢できずに読んでしまいました。 本書には十…

消えた彼女

当たり障りのない会話をしていたら、彼女が怒って部屋を出ていってしまった。 そしてそのまま戻ってこなかった。 ぼくが好きな彼女は、いつもいい匂いがしたし、笑顔がとても素敵だった。でも、それが普通に存在する 日々に埋没していたぼくは、それがどれだ…

奥田英朗「無理」

追いつめられていく人間たちの群像劇。「最悪」、「邪魔」が大好きなぼくとしては、このなんとも救い のない物語を大いに楽しんだ。 本書には五人の残念な人たちが登場する。簡単に紹介すると ・生活保護の不正受給者対策でどんどん嫌気がさしてきて主婦売春…

山田風太郎「忍法落花抄」

山風忍法帖の短編集である。本書は佐伯俊男画伯の表紙が素敵な角川文庫の短編集である。本書に収録されているのは以下の八編。 「忍者 仁木弾正」 「忍者 玉虫内膳」 「忍者 傀儡歓兵衛」 「忍者 枯葉塔九郎」 「忍者 帷子万助」 「忍者 野晒銀四郎」 「忍者…

皆川博子「花闇」

三代目澤村田之助。壊疽に罹り両足と右の手首、そして左手の小指以外のすべてを切断しそれでもなお舞台に立ったという異形の女形である。本書はその田之助のあまりにも激烈で熱い生涯を弟子の一人である三すじの目を通して語った物語。 本を読んでいて久しぶ…

猫は勘定に入れます。

股間を舐めながらスンヨは横柄に言った。 「ここまでこれたのも、みんなおれのおかげだろ?お前そこんとこよおくわかっとけよ!いまんとこ情勢 は落ち着いてるけど、いつまた急変するかわかんねえだろ?そしたら、またビビって、おれを頼ることに なるんだか…

ジョー・ウォルトン「暗殺のハムレット ファージングⅡ」

ファージング第二部である。ナチスドイツと講和条約を結んだ英国の趨勢を描くこの歴史改変シリーズ、本作ではタイトルからも察せられるようにヒトラー暗殺計画の一部始終が語られる。抗えぬ運命に翻弄される人々を描いてファシズムに傾倒していく英国の姿を…

古本購入記  2010年9月

ツイッターをはじめて、数ヶ月。最近になってようやくそのおもしろさがわかるようになってきた。これ のおもしろいところは有名な人たちの日常が手にとるようにわかることや、こちらの返信に答えてくれた りするところなのだ。最初は何をしたらいいのか、何…