こういうトーナメント的なゼロサム的な殺し合いを、廃刀令が施行されたあとに設定するのがまずおもしろい。だって、お侍さんは実質いないことになってるんだから、戦国時代みたいに大っぴらに斬りあいできる環境じゃないってことだからね。でも、まだそうい…
とっても短い作品ばかりで、しかも文字が大きめだからすぐ読めちゃいます。収録作は以下のとおり。 「転変」 「武将不信」 「二すじの道」 「武士くずれ」 この中で「武将不信」は既読ね。これは家康と最上義光の関係を描く作品で、主人公は義光なのに家康の…
こういうアンソロジーゾクゾクする。収録作は以下の通り。 「#」 梨 「タタリ・エクスペリメント」 柴田勝家 「始まりと終わりのない生き物」 カリベユウキ 「幻 孔」 池澤春菜 「あなたも痛みを」 菅 浩江 「ロトカ = ヴォルテラの獣」 坂永雄一 「戦場番…
これ、たまたま他の本でタイトルが出てきたので検索したらAmazonで安く売っていたので即ゲット、届いた本見て驚きました。だって700ページ以上あるんだもの。うれしい驚きだ。清張が亡くなった時の追悼として出版された本の文庫版なのだが、分厚いだけ…
ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲は怪談・奇談の蒐集及び紹介をしている人なんだと勝手に思い込んでいた。耳なし芳一やむじなの話など子どもの頃から慣れ親しんできたので、いまさら読むこともないかと思っていたけど、本書を読んで認識をあらためた。 日本…
収録作は以下のとおり。 ・ なぜ「星図」が開いていたか ・ 反射 ・ 破談変異 ・ 点 ・ 甲府在番 ・ 怖妻の棺 ・ 鬼畜 この中の三編は既読だった。残り四編のうち三つが時代物。まず「破談変異」は、簡単に言えば仲人争いの話。でも、その相手が春日局だから…
いまいちノレなかったな。田舎の女子高生の話なのだが、どうも刹那的でいけない。主人公である朴秀美は、引きこもりの弟と、何かと鉄拳をふるう父親とそれに追従する母親、そして半分ボケている祖母の五人家族。 茨城の田舎という閉鎖的な空間で(行ったこと…
やはりすごいリーダビリティなのだ。短い章割りでしかも章の最後一行でえ?え?てなるから、どんどん読んじゃう。しかし、面白いだけですまないのである。本書で扱われている事件はかなり曲がりくねった事件であり、それが内包する人間のダークな面もことさ…
今回はカルト教団絡みの殺人だ。基本カルトは、あまり好みでない。だからそれを扱っているミステリにはあまり食指を動かされない。事件自体も連続殺人ではないので、一人の死をめぐって上巻は終わった。しかし、いつものとおりのブレない面々の個性は健在で…
もともとぼくは清張のことは社会派の推理小説家ぐらいにしか思っていなくて、水上勉なんかと一緒にして、まあ読むことないなと勝手に決めつけていた。でも、こうやって親しむようになってこの人が時代、歴史物から出てきた人だということを知って、二度驚い…
六編収録。ラインナップは以下のとおり。 「失踪の果て」 「額と歯」 「やさしい地方」 「繁昌するメス」 「春田氏の講演」 「速記録」 表題作と続く「額と歯」は、犯罪とその捜査に重点を置いて描いているが、なんかちょっと性急な感じがした。描写が的確じ…
この光文社文庫の清張短編全集のシリーズって、巻末に本人の各作品に言及したあとがきと、写真と解説と、さまざまな作家たちの「清張と私」というエッセイが収録されていて、案外お得なシリーズなのである。各扉のイラストも朝倉摂だなんて、ほんと豪華! さ…
清張を知るきっかけとなった長いシリーズが終わりました。でも、楽しかった。この歳になって、身に染みるあらゆる煩悩を叩きつけてくる清張節に完全ノックアウト。宮部女史の親切な解説も相まって、いい読書ができました。宮部さんたら大上段に構えてなくて…
これ単行本出たときから気になっていたんだよね。三津田氏の本は一、二冊しか読んだことないけど、こういうアンソロジー的なのは絶対はずせません。収録作は以下のとおり。 【国内編】 「死神」 南部修太郎 「異妖篇 二 寺町の竹藪」 岡本綺堂 「竈の中の顔…
小粒な短編が八編収録。既読は表題作のみ。「松本清張傑作短篇コレクション〈中〉」で読みました。前回も言及していなかったが、これは心理小説ともいうべきもので犯罪は描かれていない。でも「おにいーさまあ」という声がいつまでも耳に残る良品。ラインナ…
既読がニ作あるけども、「黒地の絵」が収録されているので読んだ。収録作は以下のとおり。 「啾々吟」 「カルネアデスの船板」 「ある小官僚の抹殺」 「黒地の絵」 「空白の意匠」 「大臣の恋」 「駅路」 巻頭の「啾々吟」は、時代物。幕末から明治にかけて…
でもね、仕方ないの。久しぶりに作家にハマっちゃったの。皆川博子以来なの、一人の作家をこれだけ追いかけるのって。作品の魅力もさることながら、清張本人の人となりも気になりすぎて、こういった特集本まで網羅したくなるくらいだから、これはかなり重症…
話題作ですね。でもね、期待したほどじゃなかった。キャラが立っていたから、その魅力でおもしろかったけど、もう少し新手の攻め方でくるのかなと思っていたら、いたってオーソドックスな作りだった。超常現象があり、それを解明するという一連の流れで描か…
もうどっぶりハマってます。清張ラブ❤️こんなにおもしろいのにどうしていままで読んでこなかったんだろう?それは単にぼくが浅墓だったからなのです。社会派なんでしょ?巨匠でしょ?大衆受け良かったんでしょ?だから、そんなもんなんでしょ?って勝手に決…
「疑惑」と「不運な名前」の中編ニ作収録。「疑惑」も何度か映像化されているよね?若い頃は、そういう男と女のドロドロしたのや、二時間サスペンスドラマをあまり観なかったので、ホント清張原作の映像化作品はあまり知らないから、この歳になってどっぶり…
持ち前のビビッと感で買ってたんだよねー。新刊で買ったから平成6年だって、もう三十年以上前じゃないの。収録作は以下のとおり 「潜在光景」 「八十通の遺書」 「発作」 「黒い血の女」 「鉢植を買う女」 「鬼畜」 「雀一羽」 まあ恐怖小説集と銘打ってあり…
タイトルからもわかるように、建物の営繕を請け負う「営繕かるかや」が関わる建物怪異譚を描く短編集で、本書で第四弾となる。このシリーズ存在は知っていたが、いままで読んでこなかった。小野不由美作品は結構読んできているのに、しかも小野氏が得意とす…
時代が古いとかそういうことはまったく気にならない。さすが、当代一の流行作家であり、巨匠という名にふさわしい清張だけのことはある。宮部みゆきの責任編集ということで、そのセレクションには彼女なりのこだわりがあるようで、清張短編初心者にはたいへ…
表紙の女性は本書の著者の母親である。ダイナマイト心中で身体が吹っ飛んで亡くなったそうな。あまりにも壮絶な死ではないか。実母がそんな死に方をするなんて、ちょっと想像できない。現場は、悲惨な状態だったらしい。飛び散った内臓が木からぶらさがって…
この人は、怪異譚が好きなのだけれどもまだそれを充分こなしていないという印象をうけた。この薄さの本で13もの短編が収録されていることからもわかるとおり、それぞれがとても短い。短さがクオリティに反映されるとは思っていないが、全体的にとても軽い印…
松本清張ってば、そんなに読んでいなくて。「ミステリーの系譜」と「点と線」くらいじゃないかな。でも、短編には興味あっていろいろ読もうと思って買ってはいるんだけど、まだ読めておりません。そういう状態でこの全身全霊の清張ファンブックを読んだのだ…
久しぶりの島荘。で、吉敷シリーズなのだがこの文庫本で900ページ以上ある本書のほとんどがいわばサブストーリーである伝説の剣客 盲剣さまの話なのである。こんな逆転ある?かつて、御手洗潔シリーズの「アトポス」において『長い前奏』として描かれた部分…
月並みな感想になるが、まるで『土曜サスペンス劇場』を観たような感じだった。本書は塔馬双太郎シリーズの長編作品なのだが、長編物としては「パンドラ・ケース よみがえる殺人」に続く第二作という位置づけになる。 書かれたのが1988~1989年ということで…
あのGOTHの世界が甦る。凄惨なのに笑えたりするおかしな世界。指折りの名探偵が登場するロジックミステリ。登場する人みんなサイコパスという異色のシチュエーション。そんなことないよ!と何度も頭の中でツッコミを入れながら、でもその隙のない展開に舌を…
この人、ぼくは伝奇物とホラーばかり読んでて、ミステリ作品はあまり馴染みがなかった。「総門谷」、「刻謎宮」そして「竜の柩」とこの人の伝奇物はすこぶるおもしろかった。でも、それぞれ続編はさほどでもなかったけど。 そんな著者の自選短編シリーズの『…