読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

月村了衛「機龍警察 暗黒市場」

このシリーズも本書で三冊目。前回は三人いる龍機兵搭乗員のうちアイルランド出身の元テロリスト、ライザ・ラードナーの過去が語られていたが、本作はロシア出身のユーリ・オズノフの過去が語られる。構成的には前回も今回もまったく同じだから目新しさはな…

百田尚樹「永遠の0」

本書「永遠の0」はベストセラーになって、読んだ人の誰もが感涙の作品だといっているので読んで見る気になった。解説はあの児玉清氏だしね。児玉氏の解説も感謝カンゲキ雨あられみたいな調子で凄いプッシュの仕方で更に期待をあおってくれたしね。 本書のタ…

スティーヴン・キング「レギュレイターズ」「デスペレーション」

この二冊の本が刊行されたのは1998年。もう15年も前だね。一昔だ。このころキングはリチャード・バックマン名義で何冊かの本を書いており、この二冊も「レギュレイターズ」がバックマン、「デスペレーション」がキング名義で刊行された。この二冊が面…

村上春樹、安西水丸 「日出る国の工場」

工場は楽しい。ぼくは工場でラインにそってモノが作られてゆく過程を見るのが大好きだ。料理を作る過程を見るのも大好きだが、それに劣らず工場見学も大好きなのだ。 そこには必ず新しい発見がある。小学校の頃、コカ・コーラの工場に社会見学に行った。その…

ヘレン・マクロイ「小鬼の市」

ヘレン・マクロイは、読んでみればかなりおもしろいミステリを書く人だなといつも感心するのだけれど、イマイチ日本での紹介が系統だってないのでよくわからない部分があった。本書にしても、既に紹介されている「暗い鏡の中に」や「幽霊の2/3」そして「…

丸谷才一「笹まくら」

小説の方法論なんて大上段にぶちかます気はないが、本書を読めばその手法に刺激を受けて、どうしても小説の在り方に思いを馳せてしまう。 本書はそれほどに凄い読書体験をもたらす。この数行を読んでいったいどういう事だと思われた方もう少しお付き合いいた…

ドクター・アシルスの欺瞞

世界はどんよりした灰色の風船の中だった。朝の通勤時間はいつもならもっと気がせいているのに、今日はこの曖昧な天気のせいかすごくゆったりした気持ちだ。ぼくは高架下の幹線道路を南に向けて車をはしらせており、次々と通りすぎてゆく高架橋の真っ白なコ…

ジェイムズ・ボーセニュー「キリストのクローン/覚醒(上下)」

長くて壮大なシリーズが幕を閉じた。前二作で未曾有ともいうべき大スペクタクルな地球規模の天変地異を体験し、疲弊しきった状態でこの最終巻にたどりついた読者はさらに打ちのめされることになる。 この巻の一つ前の巻「キリストのクローン 真実」でぼくた…

卯月妙子「人間仮免中」

噂をきいて、とうとうこの漫画を読んでしまった。ぼくは本書の著者である卯月妙子さんのことはまったく知らなかった。カルト的人気を得ていた企画物の伝説的AV女優だったということも、統合失調症で自傷と殺人の欲求に悩まされ7回も入退院を繰り返してい…