読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

リチャード・ミドルトン「屋根の上の魚」

本書は書肆盛林堂が盛林堂ミステリアス文庫としてネット販売している本なので、本屋にもおいてないしAmazonでも購入できない。本書には若くして自死した英国の小説家リチャード・ミドルトンの短編が11編収録されている。訳者は南條竹則、東雅夫が序文を書…

神坂次郎「今日われ生きてあり」

本書は、特攻出撃によって散華していった若者たちが愛する家族や世話になった人たちに宛てた手紙、遺書、それから自身の心情を吐露した日記、そして最後まで彼らを支え続けた関係者の談話によって構成された魂の記録である。これまでぼくはこの特攻に関する…

アンドリュー・カウフマン「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」

カナダのオンタリオ州にある北アメリカ銀行第117支店で起こった銀行強盗事件。だが、その強盗は金を要求せず店内にいた人すべてに今持っているものの中で一番思い入れのあるものを差し出せという。安物の腕時計、子どもの写真、読み古したカミュの「異邦…

レオ・ペルッツ「ボリバル侯爵」

1800年初頭、ナポレオンはスペインを征服せんとスペインの王を退位に追いこみボナパルト王朝を樹立してしまう。しかし、スペイン内地ではそのことを受け入れられない民衆が当時フランスと対抗していたイギリスと手を組みゲリラとして抵抗していた。やが…

デイヴィッド・J・スカウ編「シルヴァー・スクリーム(上下)」

これ本国で刊行されたのが1988年だって。いくらなんでも翻訳出るの遅すぎでしょ。ま、それはともかくそんな昔に編まれたアンソロジーにも関わらず、本書はかなり読み応えのある刺激的な作品揃いだからうれしくなってしまう。多くの作品の中から幾つかピ…