読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

シオドア・スタージョン「天空精気体 シオドア・スタージョン怪作集」

天空精気体 シオドア・スタージョン怪作集

 

  スタージョンのデビュー作なのだそうだ。表題の「天空精気体 エーテルブリーザー」とその続編の「ブチル基と精気体」が収められている。二つ合わせて80ページほどの薄い本だ。短編ふたつだね。CAVA Booksで手に入るのだが、大好きなスタージョンゆえ、コスパ悪いけど買っちゃった。まさしく奇想そのものであり、しかもやさしくて叙情的でロマンティックなので好みなのだ。これは読んでもらわなければわからないけどね。

 で、今回のこのデビュー作は熟練の上手さってのはあまり感じられないけど(当たり前だ)、なかなか楽しい作品で、やはりスタージョン目のつけどころが違うよねと思ってしまった。

 話的には、当時としては(1939年)思いっきり進化した未来を書いているのだが、そこはそれ遥か未来のわれわれとしては、微笑ましく見える。でも、そこから紡ぎ出されるストーリーの奇想はやはりスタージョンの独壇場で、まあ、こんなこと思いつかないよね。

 興味ある方は読んでみていただきたい。スタージョン好きならなおさら。だって、どんな作品でも彼のファンなら読んでおきたいでしょ?