読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

古本購入記 2009年11月度

今月は新刊を結構買っておりまして、それはこの記事の最後に紹介いたしますが、古本は16作品17冊 の購入となりました。今回は4回しか古本屋に行ってないんだよね。自重したつもりなんだけど、冊数は あまり変わっておりませんね。これじゃ、おんなじじ…

伊坂幸太郎「チルドレン」

あれ?不思議。スラスラと、それもなかなか楽しんで読了しちゃった。ゆきあやさんの見立て、どんぴしゃだったみたい^^。やっぱり偏見はいけないよね。最初の作品が合わなかったからって、それで毛嫌いしちゃ作者に悪いよね。本書を読みながら、ずうーっと…

アラン・ベネット「やんごとなき読者」

薄い本なのですぐ読み終わってしまうのだが、なんともチャーミングな本である。だがチャーミングな部分が全面に押し出されているのではなく、そこかしこに皮肉や軽いブラックなジョークが顔をのぞかせているところが読みどころだ。 現役の英国の女王が、ある…

掌編三編。

歩いていると、妙に目が回る。クラクラクラクラ足が地につかない感じで、気持ちが悪い。 ええい、クソ!何なんだ、このおぼつかない感じは! 頭を振るが、酩酊感にさらに拍車がかかってしまい、とうとう膝をついてしまう。 ううう。なんかムカムカしてきたぞ…

マルセル・F・ラントーム「騙し絵」

まずおもしろいのがこの本の成立過程。第二次世界大戦時にドイツの捕虜収容所で本格ミステリマニアのフランス人が暇つぶしに書いたミステリだというのだから驚いてしまう。そこで彼は素人探偵ボブ・スローマンを主人公にしたミステリ三作品を書いた。本書は…

沼田まほかる「アミダサマ」

この人の本は今回初めて読んだのだが、非常に惜しいと感じた。細部を取り出すと、これほどゾクゾクさせてくれる本もないなと思えるほど怖いのだ。だが、いかんせん物語の本筋がなんとも弱かった。だから凄く惜しいのだ。この怖さとストーリーのおもしろさが…

池井戸潤「鉄の骨」

本書で池井戸氏が描くのは公共工事に関わる談合疑惑なのだが、やはりいつものごとく緩急つけた物語展開は読む者をとらえてはなさない吸引力にあふれている。この一見地味で華のない世界を舞台に、よくこれだけためになっておもしろい話が書けるものだと相変…

桜庭一樹「製鉄天使」サイン本ゲット!

東京創元社のメールマガジンをいつも見ているのですが、このたび桜庭一樹「製鉄天使」のネットサイン 本の発売があったので、応募してしまいました。はい、わたくし生粋のミーハーでございます。こういう のは我慢できないのでございます。この、東京創元の…

スティーヴン・キング「悪霊の島(上下)」

久しぶりのキングの長編を、いま満足の溜息と共に読了した。これだけの分量を(上下巻合わせて千ページ強!)飽きさせもせず読み切らせてしまうのはやはりいろんな意味で『帝王』だけのことはあるなぁと思うのだが、なにより凄いのは本書の構成なのである。 …

「白髪薔薇、眼鏡ひまわり、脂アサガオ」

前に並んだ三人の男は、みな表情がなかった。しかし呆けているわけではなく目線には力があり、この場 がとんでもなく重要な場なんだということはヒシヒシと感じられた。 ぼくは、圧倒されながらも慎重に三人の前に進みでた。 「5番、○○です」 大きな声で名…

中島かずき「髑髏城の七人」

話題になっている『いのうえ歌舞伎』というものを一度観劇したいものだと思っているのだが、それもなかなかままならない。いまでは看板役者となった古田新太の怪物じみた演技をこの目で見てみたい。なんとも熱い登場人物たちの掛け合いをナマで感じたい。本…

平山夢明「DINER ダイナー」

久々の平山新刊本である。彼の小説はすべて読んできているのだが、ちょっと前に刊行された「他人事」だけはあまり気が乗らなかった。読まなくてもいいやと思っちゃったのである。だからもしかしたら、このままこの人からも離れていってしまうことになるのか…

古本購入記 2009年10月度

キングの最新刊も無事購入し(でも、今回ソフトカバーだったんだよね。やっぱりキングの単行本はハー ドカバーのがっちりした本が良かったんだけどね)、さあ読みましょうかと両手をこすり合わせていると ころへ平山夢明の「DINER」が刊行されたので、…