読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

舞城王太郎「私はあなたの瞳の林檎」

人を好きになると、せつなくなる。なぜだろう?それは、自分一人では解決できない問題だからか?好きという気持ちはポジティヴなものだ。その人のことを思って、その人の笑顔を見たいと思って、その人の幸せを願って、ただひたすらに無償に願いを空に届ける…

谷甲州「星を創る者たち」

宇宙に進出した人類は、各惑星でプロジェクトを敢行するにいたる。およそ土木工事というものは、計画通りにすんなりいくことは皆無であり、そこには大なり小なりなんらかの障害が存在する。障害を克服するにあたっては、経験や経済的損失や各人の思惑などを…

カレン・M・マクマナス「誰かが嘘をついている」

居残りで理科の実験室にいた5人の生徒。その中の一人が突然苦しみだし病院に搬送されたが死亡する。死んだサイモンという生徒は自身で校内のスキャンダラスなゴシップを暴く情報アプリを運営していて、その場にいた他の4人の生徒もそれぞれサイモンに秘密を…

平山夢明「恐怖の構造」

平山氏の小説は大好物で、その低俗でスタイリッシュな独特の世界観にいつも驚かされているのだが、そんな彼が真面目に恐怖の仕組みについて論じているのが本書なのである。といっても、決して小難しい考察などではなく、いってみれば近所のちょっと物知りな…