読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

平山夢明「SINKER―沈むもの 」

本書が刊行されたのは1996年。いまから13年も前のことだ。当時ぼくは本書を新刊で買った。表紙の写真を見てもらえばわかるように徳間ノベルズ22周年記念として『Night Mare File』シリーズの一冊として刊行されたのである。他にもいろ…

高橋克彦「緋い記憶」

本書に収録されている「遠い記憶」を以前アンソロジーで読んで、とても感心した。なんといっても、ラスト一行の戦慄は何度読んでも肌が粟立つおもいがする。ここに登場する中年の作家は、仕事で盛岡に行くことになる。彼は東京で母と暮らす身なのだが、幼い…

頭を食べる話。

仕事場の先輩と一緒に大学の食堂で食事をしている。奢ってやるからなんでも食えといわれて、ぼくは人 肉料理を注文する。以前にも人肉料理は食べたことがあって、その時は頭だけ食べたのだが、脳みその旨 さが格別だったので、また食べてみようと思ったのだ…

読書メーター 2009年6月分まとめ

2009年6月の読書メーター 読んだ本の数:11冊 読んだページ数:3147ページ ■嘘つきは妹にしておく (MF文庫J) 話の組み立て方としては、はっきりいってお粗末な感がぬぐえない。唐突に話がはじまるところに余裕は 読了日:06月28日 著者:清水 マリコ http://…

日向蓬「サポートさん」

「女による女のためのR‐18文学賞」というのは、女性が書く官能小説のことだと思い、あまり気にもとめていなかったのだが、本書の日向蓬にしろ豊島ミホにしろ宮木あや子にしろ、一般作品にも進出してきて結構目が離せない作家をいろいろ輩出してきたなと思う…

佐藤亜紀「雲雀」

前回読んだ「天使」で、この著者に完全降伏したわけなのだが、本書を読んでまた頭を垂れた。 凄すぎる。あまりにもぼくが知ってる小説作法からかけ離れすぎて本書を読んでる間中、頭の中はフル回転だった。しかし、それが心地よい。感覚が研ぎ澄まされるよう…

東野圭吾「むかし僕が死んだ家」

久しぶりの東野圭吾だと思って調べてみたら、ほぼ三年ぶりだった。前回読んだのは「赤い指」で、直木賞受賞後第一作だったと思うのだが、あれが少し物足りなかったのでちょっと離れてしまう結果となったのだ。 本書を読む気になった理由は特にない。ちょっと…

ポール・トーディ「イエメンで鮭釣りを」

白水社の新シリーズ『エクス・リブリス』レーベルは、独創的な世界の文学を厳選して贈るシリーズということで、第一回配本のデニス・ジョンソン「ジーザス・サン」を取るものもとりあえず読んでみたのだが、これが見事にコケてしまった。いやいや世間での評…

「フランク・オコナー短篇集」

この人はアイルランドを代表する短篇の名手ということで、何年か前に村上春樹がこの人の名を冠した短篇賞を受賞してたのが記憶に新しい。でも、ぼくはこの人の作品を読んだことがなく、単純に名前を見てフラナリー・オコナーと混同してしまうなと思ったくら…

シフト人生

他人の人生を体験するというのは得がたい体験であり、それが良いものであれ悪いものであれ、また元のぼくの人生に帰ってくることが保証されているのなら、お金を払ってでも一度体験したいものであると常々考えていた。それがどうだ、ほんとに夢に見ちゃった…

古本購入記 2009年6月度

今月は、ちょっと控えましたよ。14冊、13作品。ね?いつもよりちょっと少ないでしょ? タイトルは以下のとおり。 「泣かない女 ― 短篇セレクションミステリー篇」 小池真理子 「律子慕情」 小池真理子 「ジュリエット」 伊島りすと 「リピート」 乾くる…