読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

手代木正太郎「涜神館殺人事件」

涜神館殺人事件 (星海社 e-FICTIONS)

  禍々しい表紙と涜神という文字に魅せられてWindo is blowing from the Aegean 女は海〜(知っている人だけわかればいいです笑)。

ま、とにかくそういうわけで読んでみたのであります。
この作者、つい先日感想を書いた「王子降臨」の作者なのだが、本書はあの作品と180度違う本格ミステリなのであります。

 

 かつて神を冒涜する悪魔崇拝邪教にまみれサドもびっくりの淫猥のかぎりをつくした狂乱の館『涜神館』。そこに集められた霊能力者たち。館に残された謎を解き明かすたため、一堂に会した彼らを襲う殺人鬼。これは幽霊の仕業なのか?いったい館に何が起ころうとしているのか?ただ一人、集められた中でイカサマ霊能力者であるグリフィス嬢は、なぜか彼女のことを本物の霊能力者と認める心霊鑑定士ダレンと館の謎を探るのだが・・・・。

 読書メーターの感想を拾い読みしてみると、エログロとか性描写がどぎついとか書いてあるんだけど、は?なんのこと?って感じ。

 ぼくの感覚が麻痺しているのか?いやあ、そんなことないと思うけど。もしかしてコンプライアンス律法が制定されて公序良俗に関する概念自体が覆ったのか?

 ま、それはともかく。本書で描かれるのは不可能犯罪なのだ。ありえない状況で起こる殺人。いったいどんなトリックが使われたのか?動機は?それぞれの殺人につながりはあるのか?しかし本書にミステリとしてのロジックの完成度を求めてはいけない。そういう類いの話ではないのだ。結局最後はそこに落ち着くのねという感じ。ラストは案外爽やかな感じで終わるのだが、この毒々しい表紙と禍々しいタイトルで期待するインパクトは得られなかった。もっともっとエログロなのかと思ったけど、まともだったなー。

 マンディアルグの「城の中のイギリス人」読んで勉強して。

 

 ひとつ気になったのが登場人物の名前。カーナッキとかサイレンスとかって、そういうことだよね?まったく言及なかったけど。