読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ルネ・ナイト「夏の沈黙」

破格のデビュー作なのだそうである。本書の出版権をめぐって熾烈なオークションの争奪戦が繰りひろげられ、最高の高値で落札されたのだそうな。で、その内容が、引っ越しのゴタゴタの中で紛れ込んでいた本を読んでみるとそこには20年前の自分の事が書かれ…

西 加奈子「円卓」

ひさしぶりに、本読んで声だしてわろてもうたわ。これ、おもろいわ。最高やわ。小学三年て、こんなんやった?ほんまのこと言うて、自分のこと思い出してたけど、こんなエキセントリックな三年生ではなかったわ。なんせ出てくる人全部普通ちゃうもんな。 まず…

海道龍一朗「真剣 新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱」

時代物を読まない人にはあまり知名度が高くないのかもしれないが、上泉伊勢守信綱といえば剣聖として塚原卜伝や伊東一刀斎とならぶ超有名人であり、なにより柳生新陰流の開祖、柳生石舟斎宗厳の師匠であるという点で剣を扱う人の間では雲の上の存在だったの…

フェルディナント・フォン・シーラッハ「禁忌」

前作の「コリーニ事件」を読んだのがちょうど二年前の7月だった。初の長編ということで、多大な期待を寄せて読んだのだが、そこで扱われている事件の謎がぼくの予想していたとおりの真相だったので少々肩すかしをくった。やはりシーラッハは短編向きの作家…