読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

恩田陸「蜜蜂と遠雷」

てっとりばやく、最初に言っておくが、本書は小説の神様から祝福された小説だ。ま、そんな神がいたとしたらだけどね。もう、ぼくなどは完全にノックアウトされちゃったのである。久しぶりに本を開くのが待ち遠しいと感じたし、読み終わるのがこれほど惜しい…

辻村深月「鍵のない夢を見る」

五編収録の短編集。一応ミステリの範疇になるのだろうか?殺人も出てくるしね。各編のタイトルは以下のとおり。 「仁志町の泥棒」 「石蕗南地区の放火」 「美弥谷団地の逃亡者」 「芹葉大学の夢と殺人」 「君本家の誘拐」 五編すべてが女性を主人公にしてい…

阿部智里「黄金の烏」

本巻でいよいよこのシリーズの本編が描かれてゆく。前二冊で、世界観及び主要人物たちが登場し、この三冊目でようやく壮大な物語のスタート地点に立ったわけなのだ。 ここで描かれるのは、山内が直面する八咫烏一族の存続に関わる危機だ。そもそも、『真の金…