読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

コリーン・フーヴァー「秘めた情事が終わるとき」

 

 

 

 あまりこういうラブロマンス的な話は読まないのだが、なんかザワザワしてるのを知って手にとってみた。冒頭からいきなり頭が踏み潰されて驚く。殺人の場面かと思っていたら、違ったからさらに驚く。

 主人公は、ヒロインの偶像をまとった美しいのであろう女性。彼女は生活が困窮している売れない作家。でも、実力はある。少しばかり運がないようだ。そんな彼女のもとに最近事故にあって、脳機能障害で植物人間になってしまったベストセラー作家ヴェリティのシリーズ物の続きを書いてほしいというオファーが舞い込む。躊躇はあったが、結局引き受けることになって、ヴェリティの夫とまだ小さい息子のいる家に住み込みで資料調査に行くことになるのだが、資料の中にヴェリティの自叙伝があり、興味本位で読んでみるとそこにはヴェリティの隠された事実が書かれていて・・・。

 ラブロマンス系なので、濡れ場はふんだんに書かれている。また、その自叙伝の内容が衝撃的なもので、もし自分がこの女性の夫だったら?と想像すると夜も眠れなくなってしまう。そうやって不安要素が横溢する中、とどめの一撃としてある疑念が生まれる。ヴェリティは、本当に脳機能障害で身動きできない状態なのか?ここらへんの呼吸はまったくもって上手い。そうなのか?そうでないのか?読んでいるこちらも不安が募る。

 ま、女性がそんなにファックを求めるのか?という疑問が終始つきまとっていて、うっとおしいがそれを気にしなければ、なかなか秀逸なサスペンス物だと思う。で、どう帰結するんだと思っていたんだけど、ぼくはラストにきて大いなる吐き気に見舞われた。

 ああ、こんなことになっていようとは!