読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

C・J・ボックス「鷹の王」

 

鷹の王 (講談社文庫)

 今回は、ジョーではなく彼を陰ながら助けてきた元特殊工作員アウトロー、ネイト・ロマノウスキが主役なのであります。我慢できなくて続けて読んじゃいました。この分でいくと新刊刊行に追いつくのも目に見えてますね。

 で、本書なのだがこれがもうああた、ドキドキしっぱなしの500ページ強でしたことよ。構成はすこぶる単純。ネイトを亡きものにしようとするかつての仲間がいよいよ本腰入れてやってきたということで、冒頭からいきなりネイトは命を狙われ、逃亡するはめになってしまう。一方ジョーのほうは静かな町に不穏な事件が起こるのを皮切りに、ネイトの身に危険が迫っていることを知る。

 物語はこの二方向の動向を交互に描いてゆく。至極常套だよね。とてもシンプルな構成だ。だが、そこはボックス、かなりグイグイ読ませる。交互に語られる場面は、各章の終わり際いったいどうなる?という場面で切り替わる。いや、わかってるんだよ、これがほんと常套手段だってことは。でも、それがストレートに気を持たせる。もう、気になって仕方がない。

 今回は、敵が尋常じゃないのだ。全容がなかなか明らかにされないから、その脅威は想像上ではかりしれなく大きくなってゆく。語られるエピソードに某国の大統領だかの口を割るのに、目の前でその娘の顔の皮を剥いだなんてとんでもないのが出てきておののき、さらに我らが対峙している敵の怖さが強調される。

 ネイトは、そうそうやられることはないだろうと、ある程度の期待はあるけど、問題はジョーとその家族だ。彼らのまわりに敵が近づいてくるんじゃないかと気が気でないのだ。もう、その緊張感で、血管切れるんじゃないかとやきもきした。

 そうそう、結局ネイトがなぜかつての仲間に追われることになったのか?ていう謎が本書で語られるんだけど、それにはあの歴史的大事件が絡んでいるんだよね。ここらへんの盛り上げ方もなかなかのものでした。

 というわけで、いやあおもしろかった。ドキドキした。一気に読んじゃった!!!!

 ほんとこのシリーズ読み続けてよかったー!!!!!