読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

C・J・ボックス「復讐のトレイル」

 

 

 

 続けて読める幸せを噛みしめた。でも、ここへきてさらに状況は悪化しているんですけど。だって、この巻でジョー自身の身辺そのものが脅威に晒されているではないか!

 つい先日、本シリーズの最新刊が東京創元社文庫から刊行された。その「発火点」で13作目、本書は8作目、おっともう少しで追いついちゃうぞ。思い起こせば、10作目の「狼の領域」が刊行されてどこかで熱い熱い紹介を読んで、このシリーズを遅ればせながら読み始めたのだが、まあ、すんばらしいシリーズでありまして、どれをとっても高水準の冒険ミステリに仕上がっております。

 今回は、ハンターばかりを無惨に殺す連続殺人犯を追うジョーの活躍が描かれる。しかしそこには、ジョーの上に立つ様々な人々の軋轢や思惑が錯綜し、ことあるごとに行く手を阻み、打つ手打つ手が先回りを予測して結局ふりだしに戻ってしまう。折しも狩猟反対運動を展開する人物があらわれ、事件を大々的にアピールして反対運動を推し進めようとする動きが関係者たちの首をゆっくり絞めてゆく。

 今回はね、ジョー君、まさしく四面楚歌。次の巻でいったいどう盛り返すんだ?という非常にまずい状況に陥ってしまっていて、またまた気になって仕方ない読みたいでも読めば終わっちゃうジレンマにはまってしまってます。

 こうやって物事が収拾つかず、次になだれ込んでゆくってのは月並みなんだけど、やっぱりおもしろい。ぼくは遅れてきた読者だから、次々読もうと思えばできるわけで、これをリアルタイムで読んでいた人は、次の巻の刊行までほんと長かったんだろうね。

 ジョーは相変わらずだし、彼の家族は新たな顔を見せてくれたりして驚くし、シリーズ通して親しんできた登場人物があんな目にあっちゃったりするし、ほんと目が離せない。

 次の巻も波乱の巻みたいだし、いろいろ残っている問題も含めて、あー悩ましい。