国内ミステリ
ほんと久しぶりの飛鳥部作品だ。だって、デビュー作以来なんだもの。ブログ仲間内でキワモノのBミスだなんて皆から絶賛されていて、気になって仕方なかったので読んでみました^^。 この背徳的で凄惨な印象を与えるタイトルとは裏腹に、内容はいたってノー…
タッチは軽いが、なかなかヘヴィな読み応えだ。冒頭いきなり牛乳が出てくるので面食らっていると、どうやら女教師の演説なんだなとわかってくる。中学一年の終業式に担任の教師が教壇の上から生徒たちに一席ぶっているのである。でも、その内容がちょっとお…
ミステリ・フロンティアの最新刊である。これはちょっと興味を惹かれたので読んでみた。こういう歴史の真実を暴くという主題のミステリは過去にも沢山あって、みなさんもご存知のとおり「時の娘」「邪馬台国の秘密」などの傑作も数多く書かれているし、記憶…
というわけで、すぐ読んじゃったんだなこれが。いままでのぼくなら、こういう読み方はしなかったのだが、ここんとこ皆川熱にとりつかれて、なんだかぼくの性向も変化してきたらしい。とてもフットワークが軽くなってきたのである。 で、ウキウキと本書に取り…
この人、最近めきめきと頭角あらわしてきてませんか。というわけで遅れてならじとあわててこの評判のいい警察小説を読んでみたというわけ。といっても文庫落ちだからすでに遅れをとってるんだけどね。 で、感想なのだがこれが評判に違わず良かった。読み始め…
本屋をブラブラしていたら、普段あまり見向きもしない双葉文庫の棚の前に平積みになっていたのが本書だった。その節操のないオビの文句に目を惹きつけられてしまった。手にとって裏返してみたら、裏の文句はさらに扇情的。『怖い!イタい!後味最悪!・・・…
もうこのシリーズの新刊は読むことはないだろうと半ばあきらめかけていたキッド・ピストルズが最低の帰還を果たした。といっても、こちらは江神シリーズより少し短い13年というブランクだったのだが。 山口雅也=キッド・ピストルズという図式が刷り込まれ…
こういう話から、えらく隔てられていたなぁと思った。ぼくも男ですから、昔はこういうハードなエロティックバイオレンスというジャンルをむさぼるように読んだものだった。その頃の主流はもう西村寿行でなくて、菊池秀行と夢枕獏だったのだが。 菊地、夢枕の…
いまさらながらなのだが読んでみた。刊行当時、結構話題になった本だ。これの前に出てた「GOTH」も未読だし、これ以降に出た本も「銃とチョコレート」しか読んでないし、デビュー作含めたら本書で三作品ということになる。 本書には単行本未収録作品を含…
念願の曽野綾子ミステリー短編集を手に入れ、めでたく読了した。書かれた時代が時代なので、やはり風俗や金銭感覚などに大きな隔たりを感じてしまうが、それはそれでご愛嬌というところか。 ミステリ集ということだが、本来の意味でのミステリとしての興趣は…
新野 剛志の作品を読むのは、本書が初めてである。タイトルに惹かれて読んでみた。 ハードボイルドとしての体裁はなかなかのものである。警句に満ちたシニカルな言い回し、失踪人探しを軸にして展開する起伏に富んだ物語。主人公の女子高教師である高梨龍平…
ブログ内での評判や、つい最近文庫化された経緯からこの作品はぜひ読んでおきたいと思っていた。 とにかくラストで世界が反転するすんごいミステリだということで、もうワクワクしながら読み進めていったのである。 物語的には、本書はミステリではない。謎…
元々テレビでスポーツ中継を見る習慣がないので、箱根駅伝の存在は知ってても一体どんなことが行われているのかなんてまるで知らなかった。そりゃ駅伝がどういう競技なのかってことは知っているが、選手やそれをサポートする人達、またそれをテレビ中継する…
タイトルからも察せられるとおり本書には架空の通貨が登場する。読みながら、こんなことほんとにあるんだろうかと頭を傾げていたら、過去にも事例があったということなので驚いた。 『西郷札』といえば、ぼくはまっさきに松本清張の短編のタイトルを思い出す…
これは、なかなか楽しめた。なんといっても鉱山都市を舞台にしているところからして、いろいろと胡散臭い。まして、時代は昭和二十年代である。いってみれば、なんでもありなのだ。そういう観点でみると本書はファンタジーとしてのおもしろさも兼ね備えてい…
「本が好き!」の献本第11弾。 いきなりだが、ぼくは有栖川有栖氏の作品のあまりよい読者ではない。なぜならば、数多くある氏の作品のほとんどを読んだことがなく、かろうじて読んでいるのがこの江神シリーズだけなのだ。さらに重ねて告白するが、本作でこ…
この本は読む前から少し身構えていた。なぜなら、本書の探偵役が引きこもり青年だということを知っていたからだ。どうもぼくはそういうネガティブなものが好きではないので肌に合うのか心配だった。 予想は的中して、一番目の作品を読み終わった段階でこれは…
多島斗志之は以前に「症例A」を読んで、なんという終わり方をする本なんだ!と驚いたことがあった。 もちろんそれは良い意味での驚きではなく、肩透かしという意味合いでである。ラストまでは、なかなか良かったのに、最後の最後であんな終わり方するとは思…
この人の本を読むのは、本書が初めてである。文庫本で525Pって結構な厚みだ。それに、このくらいの厚みが一番購買意欲をソソる。作者の語りたいことがこんなにあるということは、それだけ思い入れがある上に作者自身も興が乗ったに違いないと思ってしま…
「本が好き!」の献本第7弾。 デビュー作の「A HAPPY LUCKY MAN」がことのほかおもしろく、この人はミステリも書ける人なんじゃないかと思っていたら、やはり出ました。それも老舗の東京創元社のミステリ・フロンティアからである。そうかと…
おもしろかった。タイトルからもわかるとおり、本書の主人公はネゴシエイターである。コンビニ強盗をした若者三人組が逃亡の途中で病院に逃げ込み、患者や当直の医師や看護士を人質にとって立て篭もってしまう。警視庁警備部警護課特殊捜査班課長代理の石田…
三津田氏の作品は初めてである。デビュー当時から見知ってはいたので、どんな作風かはある程度予測はできた。ぼくの記憶に間違いがなければ、確かこの人講談社ノベルズでデビューしたんだよね? ホラー系だとはわかったけど、どうも食指が動かなかった。今回…
ぼくにとって鬼門である山田正紀なのだが、本書はシンプルな謎と藤田新策の表紙に惹かれて、ついつい手にとってしまった。 そう、本書の謎はまことにシンプルだ。十五階建てのビルから人間が一人消失してしまうのである。ビルには監視カメラが多数設置されて…
これはいままで読んだ二冊とは少し感触が違った。なにしろ主人公である女子高生、神子上(みこがみ)さやかは、剣の達人なのである。時代小説好きなら神子上という苗字を見てピンとくるかもしれないがなにをかくそうさやかの流派の始祖は、あの神子上典膳な…
図書館でたまたま見つけて『小説探偵』という文字に惹かれて読んでみた。小説内に入り込む話といえばジャスパー・フォードの「文学刑事サーズデイ・ネクスト」を思い出すが、本書もあれに想を得て書かれたのだろうか? 本書は短編連作形式で話がすすめられる…
これってあんまり評判良くないのかな?ぼくは大好きなんだけど。 本書は2001年の夏に文庫書き下ろしで刊行された。文庫書き下ろしという形式が、彼女としてはめずらしい試みだったと記憶している。長編ではあるがほんとに短い作品で、数時間で読めてしま…
この人の作品は、ブログ仲間の間ではそれほどいい評価をもらってなかった気がする。とりあえず初めての作家さんはデビュー作を読んでみるという定石を踏んで本書を手にとった。 本書には四編の短編がおさめられている。それぞれおもしろくミステリとしてのカ…
この人ラノベから出てきた人だけど、本物だね。初めて読んだ本書で確信した。だって、15世紀のイタリアを舞台に、これだけしっかりしたミステリ書いてんだもん、こりゃ本物だわ。まして探偵役は、あのダ・ヴィンチときたもんだ。う~ん、素晴らしいぞ。 そ…
樋口有介はデビュー作の「ぼくと、ぼくらの夏」を読んだっきりで、いままで一冊も読まずにきてしまった。「ぼくと、ぼくらの夏」は素晴らしい青春ミステリで、読んだ当時はとても感心したのにどうしてそういうことになったのかというと、第二作である本書が…
古本好きにはたまらない内容なのかと思いきや当初の思惑からは逸れてしまったが、なかなか興味深い内容だった。『書物狩人』とは世間に出れば大事になりかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法問わず、あらゆる手段を用いて入手する本の世界の究極的存在な…