読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

桐生祐狩「小説探偵GEDO」

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 図書館でたまたま見つけて『小説探偵』という文字に惹かれて読んでみた。小説内に入り込む話といえばジャスパー・フォードの「文学刑事サーズデイ・ネクスト」を思い出すが、本書もあれに想を得て書かれたのだろうか?

 本書は短編連作形式で話がすすめられる。それぞれ架空の本を題材にして、様々なジャンルの物語が舞台となっている。

・ 第一話 「黄金の船」 千駄ヶ谷神宮・作 闘美社

・ 第二話 「妖蛾異人伝」 妹尾みずほ・作 緑風出版

・ 第三話 「青き追憶の森」 ポール・ニューカーソン/田山順子・訳 早河書房

・ 第四話 「タイトロープな男たち」 陸谷辰郎 緑風文庫

・ 第五話 「百合秘紋」 赤井茂太郎 音羽文庫

・ 第六話 「チェンジングヘッド」 忍冬麻希 緑風出版

・ 第七話 「ソード・オブ・ウィンド」 風の騎士団所属秘文字解説委員会 メテオファクトリー文庫


 ミステリ、耽美小説、翻訳ミステリ、ノワールバイオレンス、時代小説、SF、ファンタジーとあらゆるジャンルが描かれるのだが、それがうまく反映されているかといえばそんなことはない。いまいち乗り切れないのも、そこらへんが影響しているのだろう。かといって、まったくおもしろくないわけではなくこの作者の本は初めてなのだが、他の本も読んでみようかなという気になった。それというのも、名前から察するに作者は女性なのだと思うのだが、本書のところどころに顔を出す鬼畜系の醜悪さは他に類をみないもので、まずそれが目を惹いた。どういったらいいのか困るのだが、とにかく気持ちいいくらいブッ飛んでいて、こんなあけっぴろげな印象をもったのは久しぶりだったのだ。

 だから、この人のデビュー作である日本ホラー小説大賞を受賞した「夏の滴」を読んでみるのもいいかなと思ったのである。本書も小説探偵という特異な職業と、それを取り巻く世界の成り立ちにおいて数々の謎が解決されないまま残されており、作者自身も続編を必ず書くと公言しているので、これはこれで楽しみだったりする。主人公である三神外道のキャラはいまいちはっきりしない感じで、少し印象に薄い気もするが、それはまあ気にしないでおこう。

 とにかくこの作者こんな物語書いているなんていったいどういう人なんだろう?という興味はつきない。

 また変わった人に目をつけてしまったものだ。