ゾンビマニアのオタク高校生 安東丈二は、夏期合宿として本土から数百キロ離れた紋浪(あやなみ)島に来ている。クラスの中では目立たぬ存在で、みんなからは軽く無視されているのだが、彼としては大好きなゾンビ映画が観れて、学級委員長の黒髪が素敵な城ヶ根莉桜さんをゾンビ達から守る妄想に埋没できていれば幸せなのである。しかし、その孤島で本当のゾンビハザードが起こってしまう。群がる生ける屍どもを前にして、オタク高校生丈二君は、果たして日頃の妄想を現実に昇華できるのか・・・・。
いかにもゾンビマニアっぽい作りなので、そういうマニアックな話なのかと期待していたら、変な方に話が進んでいくので、ちょっと驚く。マニアっぽいと思ったのは各章の章題。ここに挙げておくと、
いかにもゾンビマニアっぽい作りなので、そういうマニアックな話なのかと期待していたら、変な方に話が進んでいくので、ちょっと驚く。マニアっぽいと思ったのは各章の章題。ここに挙げておくと、
第一章 これはゾンビですか?
第二章 アイアムヒーロー
第三章 LEFT 4 DEAD
第四章 THE HOUSE OF THE DEAD
第五章 デッドライジング
第六章 屍者の帝国
第七章 バイオハザード
第八章 HIGHSCHOOL OF THE DEAD
第九章 高慢と偏見とゾンビ
第十章 DAWN OF THE DEAD
それぞれ各メディアで有名なゾンビ物のタイトルが並んでいるのだが、「高慢と偏見とゾンビ」があるのに「WORLD WAR Z」がないのはどうしてだと思ってしまう。ま、それはおいといて先にも書いたとおり本書は少し予想外の展開をみせる。そこが本書の面白いところであり、また不満なところでもある。話の展開としては面白いし、もう少し思い切った描かれ方だったら絶賛していたかもしれない。ぼく的には、少々優等生的なストーリーが物足りなかった。同時に不満だったところは、ゾンビ小説でありながら、本書にはゾンビとの絡みがほとんどないのである。やはり、この忌まわしい存在をもっと描いて欲しかった。「WORLD WAR Z」ではゾンビの露出を極力抑えた描写だったが、あちらは迫真のアプローチが絶妙だったゆえにそれもアリだと思えたが本書の描き方は避けてるように感じてしまった。
とにかく、ゾンビ物としては堅固な外郭を突いたら、案外モロくてすんなり進入できちゃいました的な呆気なさがあったが、話的にはなかなかおもしろかったというわけ。今度はもっとディープなやつをお願いしたいなぁ。