読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

日日日「ちーちゃんは、悠久の向こう」

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なかなかに悲惨な話だった。直接的な描写がないだけで、語られていることは残酷なことこの上ない。

あまり先入観をもってなかったので、結構インパクトあった。怪談好きの女の子というのは目新しくな

いが、そこから波及していく物語の展開がおもしろかった。

なるほど学校の七不思議ねえ。虐待ねえ。そうかー、そうくるかー。

瓦解する日常と、あやうい思春期の慕情。ゆるやかにみえて目まぐるしく展開するストーリー。

高校生がこれを書いたと思うとやはり感心してしまう。高校生デビューといえば、やはり乙一と比べて

しまうが、乙一がスタイリッシュで技巧に感心するタイプだとすれば、日日日は堅実で今日的という印

象だろうか。

しかし、ストーリー展開は先が読めないのだ。いったいどう転がっていくのか見当もつかない。ラスト

に至って、ああこれはホラーだったんだとあらためて気付いた。ちょっと結末はいただけないが。

どういうわけか、気に入ったみたいだ。他の作品も読んでみたいと思った。

新しい才能だとか、新世紀の文学だとか、そんな大仰なことは思わないが実力はある人だと思う。

まだまだメジャーではないが、注目していよう。