読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2007-07-22から1日間の記事一覧

ジョナサン・フランゼン「コレクションズ」

タイトルの「コレクションズ」とは、修正のこと。 現代アメリカの縮図として描かれる一つの家族。内包された小宇宙ともいうべきその縮図の中で、家族はそれぞれ悩みを抱え、鬱屈と倦怠にまみれながらも精一杯生きている。 こう書けば、小難しい印象を受ける…

レナーテ・ドレスタイン「石のハート」

家族全員を一瞬の内に失ってしまったエレン。惨劇は彼女が12歳のときに起こった。いったいエレンの家族に何が起こったのか?惨劇から30年を経てエレンは、あの家をまた訪れる。 とても惹きつけられた。子を持つ親としてちょっと耐えられないショッキング…

マーリオ・リゴーニ ステルン 「雷鳥の森」

イタリア北部の雄大な自然、忘れることの出来ない戦争体験。ステルンの作品集は、アリステア・マクラウドの短編に通じる厳しさと生命の謳歌に満ちて静かな感動を呼びます。地味で荒けずりだけど、だからこそ伝わる真実の姿があります。本書に収められている…

ゲイル アンダーソン=ダーガッツ 「 雷にうたれて死んだ人を生き返らせるには」

第二次大戦下のカナダ西部の農場を舞台にした物語ということで、『大草原の小さな家』みたいな牧歌的な、やさしい物語なのかなと思って読んでみたら、とんでもない。本書は、なかなか異質な家族の物語でした。 主人公であるべスの十五歳から十六歳にかけての…

誼阿古「クレイジーフラミンゴの秋」

先に紹介した「クレイジーカンガルーの夏」のスピンオフ作品ということで、舞台も同じなら、登場人物 もほぼ同じで今回は女の子が主人公である。 しかし個人的な好みからいえば、今回の作品のほうが断然良かった。相変わらずぎこちない部分が目につ き読みづ…