読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

アンソロジー

山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー

角川のこの『本格ミステリ・アンソロジー』のシリーズも今回の山口雅也で4冊目となった。北村薫、有栖川有栖、法月綸太郎と続けて読んできたわけだが、毎回毎回その作家独自の視点でマニアックな作品が収集されており、いつものことながらどうしても買う羽…

シオドア・スタージョン、アヴラム・デイヴィッドスン他 中村融編「千の脚を持つ男」

こういうアンソロジーは、やはり楽しい。なによりいろんな作家の作品が楽しめるところがお得である。 でも、それが自分の好みに合ったいい作品ばかりだという保証はないから、当たり外れも大きいのがアンソロジーの両刃の剣的な部分でもあるのだ。 本書はど…

シンシア・アスキス他「淑やかな悪夢 英米女流怪談集」

夏はやっぱり怪談だと思って七月末からこの本を読み出したのだが、途中何冊か他の本に浮気したため、読み終えてみればもう初秋だ。なんとも締まりのない話である。 本書は怪談通として知られる三人(倉阪鬼一郎、南條竹則、西崎憲)が選び抜いた英米女流怪談集…

M・スラング編「レベッカ・ポールソンのお告げ」

文春文庫から出てたホラー・アンソロジーである。 簡単に各編の寸評いってみよう。◆ スティーヴン・キング「レベッカ・ポールソンのお告げ」 これを読んであの「トミー・ノッカーズ」がかなり不気味な作品だったんだなぁということに気づいた。この短編はあ…

栗本薫・選「いま、危険な愛に目覚めて」

栗本薫愛するところの『耽美小説』ばかり集めたアンソロジーである。 これは日本ペンクラブが編纂していたアンソロジー集「日本名作シリーズ」の一冊であり、現在でも売られているのかどうか知らないが、それぞれのテーマをもったアンソロジーがその分野に明…

有川浩、角田光代その他「Sweet Blue Age」

こんな本が角川から出てたとはね。う~ん、まったく知らなかったぞ。ここに収録されてる作家陣の顔ぶれは結構豪華なんじゃないの?ここで収録作を紹介しておこうか。 ◆ 角田光代 「あの八月の、」 ◆ 有川 浩 「クジラの彼」 ◆ 日向 蓬 「涙の匂い」 ◆ 三羽省…

「自選アンソロジー ミステリ編」追記

自選ミステリアンソロジーの記事をアップする際、各作品について現在読むことのできる種本も一緒に掲載しようとしたのですがどうも饒舌に語りすぎたみたいで5000字の字数制限に引っかかってしまってやむなくカットしてしまいました。でもやはり心残りな…

「自選アンソロジー ミステリ編」

オリジナルアンソロジーを編纂するという試みはやはりとても楽しいもので、ほんとこういう仕事を一生に一度はしてみたいもんだと思うほど楽しい作業でした。だから、調子にのって前回のホラーアンソロジーに続いてミステリーアンソロジーも考えてみました。…

アンソロジーを編む

しろねこさんからバトンを頂きました。続編を所望する作品名や自分でアンソロジーを編纂するなら、どんなものにするかなんて本読みにとっては非常に魅力的な質問ばかりなので、ぼくもやってみることにしました^^。 質問は以下の三つ。 Q1. どうしても続編…

武田武彦編「怪奇ファンタジー傑作選」

読書の大海に漕ぎ出したばかりの中学生ベックにとって、本書との出会いは衝撃的だった。集英社コバルト文庫はいわゆるジュブナイル系の老舗のようなレーベルだが、概ね女子に向けての作品ばかりで当時のぼくは見向きもしなかった。かろうじて夢枕獏の「ねこ…

〈ナイトヴィジョン〉シリーズ

いきなり話がシフトしてしまうのだが、ほんとうに早川文庫のモダンホラーセレクションがなくなってさびしい限りである。あのシリーズの全盛期だった80年代後半~90年代は、毎月本屋に行って新刊の中から背表紙の赤いシンボルマークを発見するのが楽しみ…

紀田順一郎・編「謎の物語」

このアンソロジーにはミステリ好きにはたまらない粒よりの作品ばかりが収録されている。刊行されたのは1991年、おお、15年も前だ。 収録作は以下のとおり 『仕組まれた話』 ○ 「女か虎か」 F・R・ストックトン ● 「謎のカード」 C・モフェット ○ 「…

J・スキップ&スペクター編「死霊たちの宴」

かの米国で生きる屍といえば、ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の ことである。 上巻では、そのロメロにリスペクトした感のある作品が揃っていた。そのほとんどが、映画そのままに 生きる者と生きる屍との死闘を描いているの…

ディック、クーンツ他/中村融編「影が行く」

本書はSFホラー短編を日本独自で編纂したアンソロジー。なかなかの傑作揃いである。 収録作は以下の通り。 ◆ 消えた少女(リチャード・マシスン) ◇ 悪夢団(ディーン・R.クーンツ) ◆ 群体(シオドア・L.トーマス) ◇ 歴戦の勇士(フリッツ・ライバー…

筒井康隆・編「異形の白昼」

恐怖小説というのが好きなのである。目がないと言ってもいい。恐怖、ホラー、怪談、呼び方はどうで あれぼくはこの手の話が大好きだ。 だから、よくアンソロジーを読む。角川ホラー文庫のアンソロジーもよく読んだが、あまりいい作品に はめぐりあえなかった…

内田春菊・選「ブキミな人びと」

世の中にブキミさんは多い。人の集まる場所に行けばかなりの確率でブキミさんに会うことができるといっても過言ではない。もしかしてこれはぼくの偏見かもしれないが、実際ぼくはブキミさんに遭遇することが多い。電車に乗っても、街中でも、マクドナルドで…

七北数人編『猟奇文学館』シリーズ

猟奇に題材をとったアンソロジーシリーズである。猟奇=エログロみたいなイメージがあるが、本アン ソロジーに収録されている作品からは不思議とそういう匂いはしない。確かに扱っているテーマは『監 禁』、『獣姦』、『カニバリズム』とエログロ満開っぽい…

法月綸太郎編 「法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー」

こういうアンソロジーが結構好きだったりする。 いままで角川から北村薫と有栖川有栖がそれぞれ編者を務めたアンソロジーが出てるのだが、よくこんなの見つけてきたなっていうくらいマニアックな作品がそろっていたにも関わらず、内容的には満足を得られるほ…

日下 三蔵編「乱歩の幻影」

乱歩はほぼ伝説化しています。 その作品世界とオーバーラップする作家なんて、乱歩以外にはいないのではないでしょうか。彼の活躍していた時代の影響もあるでしょうが、彼はその世界を体現した作家でありました。 ぼくは、さほど乱歩フリークではありません…