読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

アンソロジーを編む

 しろねこさんからバトンを頂きました。続編を所望する作品名や自分でアンソロジーを編纂するなら、どんなものにするかなんて本読みにとっては非常に魅力的な質問ばかりなので、ぼくもやってみることにしました^^。

 

質問は以下の三つ。

 

 Q1. どうしても続編を書いてほしい小説と、その作者名をあげてください(物故作家の場合は、代わって続編を書く作家の名前も)。できれば、その理由も。
 
 Q2. オリジナルのアンソロジーを編むことになりました。テーマと収録したい作家・作品名をあげてください。
 
 Q3. Q2.のアンソロジーに、タイトルをつけてください。値段や体裁(単行本か文庫かなど)、装幀についても、希望があればお書きください。

 

 う~ん、なんて本好き魂をくすぐる質問なんだ!この質問をされたのはアニスさんらしいのだが、この方は生粋の本好きとお見受け致しました。だから、ぼくも敬意をはらって真剣にこの質問に答えようと思います。

 

ではさっそく、Q1いってみましょう。

 

 やはりこれは誰がなんといっても山田風太郎忍法帖シリーズでしょう。長編全部読んじゃったしね。でも、物故作家の場合は代わりの作家をとのことですが、これは譲れませんね。やはり山風忍法帖は山田風太郎にしか書けませんからね^^。




Q2.アンソロジーのテーマは海外ホラーでいきましょうか^^。



ディーノ・ブッツァーティ「忘れられた女の子」

 ブッツァーティといえば、「待っていたのは」や「何かが起こった」や「七階」なんかが定番なんでしょうがこの作品も一読忘れがたい印象を残します。こんなこと起こるはずないのに、ブッツァーティの手にかかると、そんなありえない話がおそろしく不安をかきたてる作品になるのです。ほんと、この作品の緊迫感はただごとじゃないもんね。



リュイス・シャイナー「輪廻」

 この作品は今は絶版となったアシモフ編「恐怖のハロウィーン」に収録されてました。これがなかなか技巧的な作品で、読んだ当時は興奮しましたね^^。怪談話に興じる若者たちのもとへかつての仲間からある小説が送られてきます。みんなで読んでみると、その中で語られているのは怪談話を披露している若者たちの話。そう、いまの自分たちとおんなじ状況なんです。もしかして、ここに書かれているのは自分たちのことなのか?ありがちな設定ですが、この作品はそのもっとも成功した例だといえるでしょう。 



マイケル・マーシャル・スミス「地獄はみずから大きくなった」

 二年程前に刊行されたこの人の短編集から一編いきましょうか。この作品は話の流れがおもしろい。前半は医療用ナノマシンを扱ったSFなのに、後半になってホラーになってしまうんです。だから、ホラー作品として読んじゃうとそういった意味での驚きが半減なのですが、どうしても入れたかった^^。



パトリック・マグラア「串の一突き」

  この人は独特の雰囲気をもった作家で、案外好き嫌いがはっきり分かれるタイプかもしれない。翻訳本もあまり出てないから、日本では不評だったのかな?この作品が収録されていた「血のささやき、水のつぶやき」が刊行されたのは1989年。わお!もう二十年近くたってるじゃん!当時は結構話題になっていたんだけどなぁ。本作は、その短編集の中で一番印象に残った作品。まあ、読んでみて。



ピーター・トレメイン「髪白きもの」

  ケルトの伝承や伝説をもとに描かれたゴシック・ホラー短編集「アイルランド幻想」で颯爽と登場したトレメイン。その中でも一番背筋が寒くなったのがこの作品。ビジュアル的にも因縁的にもまったくパーフェクト。この感覚はあのスティーヴンソンの傑作「ねじけジャネット」に通じるものがある。ほんと怖かった。



シオドア・スタージョン&ジェームズ・ベアード「死を語る骨」

  これも絶版のソノラマから出ていた「影よ、影よ、影の国」に収録されていた作品。ひょんなことから、骨の記憶を再生する機械を作ってしまい、人類史上初めて死を疑似体験してしまう人たちの顛末を描いている。誰も見たことがない世界。未知の領域。う~ん、これはおもしろいぞ。ちょっとブラックな笑いもあって一読忘れがたいものがあります。



ロバート・R・マキャモン「ベストフレンズ」

   この作品のことは、これまでも散々語ってきたので、ここでは繰り返しません。とにかく読んで驚けって感じ^^。こういうふっきりの良さって、とっても新鮮でした。



レイ・ブラッドベリ「トランク詰めの女」

   ブラッドベリはあんまり好きじゃないと公言しているんですが、短編作品は結構読んでたりします^^。だって、この人アンソロジーなんかの常連でしょ?結構そこらじゅうに作品が散らばってて、どうしても踏まないで通ることができないんです。で、そんな彼の短編の中でゾゾッとしたのが本作品。早川の「幻想と怪奇」第二巻に収録されています。



ディヴィッド・マレル「リオ・グランデ・ゴシック」

   これは、もう初めから鷲掴み状態で、そのままのテンションを持続して一気にラストまで突っ走ってしまう、まさしく読み始めたらやめられないおもしろさでした。車道に転がっていたスニーカーの中に切断されたままの足がそのまま入っていたという驚きの発端が素晴らしい。




   以上9作品。数が少ないと思われるかもしれませんが、これを実際本にしたら結構分厚い本になるんじゃないかと思われます。ほんとのこというと、ここにまだロバート・ウェストール「ブラッカムの爆撃機」J・R・R・マーティン「皮剥ぎ人」を加えたかったのですが、そうするとおそらくあの驚異の厚さを誇る京極文庫本より分厚い本になってしまうので割愛いたしました^^。



 というわけで長くなりましたがQ3いってみましょう。

 

 アンソロジーのタイトルは「ホラーの愉楽」。いいのを思いつけなくてすいません。結構考えたんですがまったく思いつかなくて^^。表紙はそうですね村山潤一さんがいいかな^^。村山さんの描く人物はとても魅力的ですからね。いつものように明るいのじゃなくて、暗い絵を描いていただきたいです。体裁は文庫で、値段はこれぐらいの本になると1800円くらいになるんじゃないですかね。

 

 ところで、ミステリ作品のアンソロジーも考えてみたんですが、どうしましょう?