というわけで、加賀恭一郎なのである。つい最近、ゆきあやさんの記事でシリーズ物にたいする意見としてシリーズ物を最初から読まないのはリサーチ不足だと言い切ってしまったのだが、その禁忌を思いっきりやっちゃってるのがこのシリーズなのである。エラソーな事言っちゃって、ダメですな、もう^^。
そんなわけで、とりあえずウチにある加賀シリーズの一番古いやつとして本書を読んでみた。ここでもう言わずもがなのことなのだが、このあいだ買った「新参者」に加賀シリーズの一覧が広告で入っていたので、書いておくことにする。はっきりいって、これを見るまでさっぱり把握できてなかったのだ^^。
以下は刊行順です。
◆「卒業」 大学4年生
◇「眠りの森」 警視庁捜査一課勤務
◆「どちらかが彼女を殺した」 練馬署勤務
◇「悪意」 警視庁捜査一課勤務
◆「私が彼を殺した」 練馬署勤務
◇「嘘をもうひとつだけ」 練馬署勤務
◆「赤い指」 練馬署勤務
◇「新参者」 日本橋署勤務
そしてぼくが最初に読んだ加賀物が「赤い指」。次に読んだのが「新参者」というわけ。おいおいダメじゃん。その時点で六作抜かしちゃってるんだもの。
で本書なのだが、これは意外と惚れっぽい恭一郎君のせつない恋の結末が描かれる作品となっている。もう、この雰囲気が出始めた段階で、ああこれは金田一耕助の映画シリーズで何回もあったあのパターンなんだなとわかってしまった。そっか、これはそういう話なんだなとわかってしまうと、一歩引いた姿勢で物語と接することになった。
しかし、さすが一筋縄ではいきません。当初の予想は半ば当たっていたわけなのだが、事態はさらに錯綜していたのだ。第一の事件と第二、第三の事件との関連性の謎が本書の眼目となっているのだが、ふーむなるほどフタをあければそんなことになってたのだ。本書のそういったミステリ部分の解明ラインが手放しで褒めるほどスッキリしたものではないのが玉に瑕なのだが、それはまあいいとしよう。ぼく的には、少し本書の話の流れが助長に感じたのだ。バレエの世界を舞台にしたミステリということで、専門的な部分もあったりして、進行がまどろっこしくていけなかった。
とまれ、このシリーズのミステリ的な興趣はきらいではない。加賀恭一郎はガリレオより名探偵だと思うのである。ゆえに今後もこのシリーズは読んでいこうと思う。順番は少し前後するかもしれないけどね。