長くて壮大なシリーズが幕を閉じた。前二作で未曾有ともいうべき大スペクタクルな地球規模の天変地異を体験し、疲弊しきった状態でこの最終巻にたどりついた読者はさらに打ちのめされることになる。
この巻の一つ前の巻「キリストのクローン 真実」でぼくたちはあの『ヨハネの黙示録』に出てくる七人の天使が吹くラッパがいざなう大禍を体験した。
本書ではその後に続く最後の七つの災い、すなわち神の怒りが極まる七つの鉢の禍いを体験することになる。
第一の鉢 獣のしるしをつける者に悪性のはれ物ができる。
第二の鉢 海が血になり、海の生物が死に絶える。
第三の鉢 地球上のすべての水が血に変わる。
第四の鉢 人間が太陽の火で焼かれる。
第五の鉢 闇がこの世を覆い尽くす。苦痛が支配する。
第六の鉢 ユーフラテスの川が涸れ、日の出る方角から来る王たちの道ができる。
第七の鉢 大地震
これらの現象がまた地球を襲う。まさしく阿鼻叫喚の地獄だ。その上、ここでも魔女狩りの恐怖が繰り返される。死からの復活を果たし、イエスの再来であることを証明してみせたクリストファーを崇める人たちと、それに反する人たち。勢力の拮抗が傾いたとき、そこに排除粛清の気運が高まる。
いったい物語はどこに落ち着くのか?
キリストのクローンであるクリストファーは本当に救世主なのか?
ぼくは本書を読んでいて思わず声をあげたところがある。下巻の125ページだ。まさかこんな事が起こるとは思ってもみなかった。まさに驚天動地の展開だった。
本書の内容はまことにスキャンダラスなもので、その重要性は真のクリスチャンであればあるほど高まる。幸いぼくはクリスチャンでもなんでもないので、そこまでのショックは味わわなかったが、これ本国アメリカではどういう受け止め方をされてるんだろうと思ってしまう。
こういうジャンルのカテゴリーがあるらしいが、それにしてもショッキングな内容だ。裏を返せば、信仰によって、それを信じている者は必ず救われるということなのだろうが、これほどの苦難があるとは恐ろしい。
まあ、なにはともあれ聖書の世界ってほんと人間の想像力を大いに刺激する一大エンターテイメントの塊りだね。この書にはまだまだ大いなる可能性がつまっているに違いない。今後もこの世界最大のベストセラーをもとにしていろんな傑作が書かれることを願おう。