読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

スティーヴン・キング「アウトサイダー(下)」

下巻にはいって、あのホリー・ギブニーが登場して事件解決への方向を一気に修正する。これは、ネタバレじゃないよね?下巻開くと最初の章題が「ホリー」だし、登場人物リストの筆頭に名前出てるしね。過去の事件で人智の及ばない事があることを身をもって体…

皆川博子「光の廃墟」

イスラエルのマサダ砦は、紀元六六年にパレスチナのユダヤ人がローマ軍の進攻から立て籠り四年にわたって抵抗した砦で、かつてヘロデ王が自身の離宮として整備して改修した場所だった。ユダヤ戦記でも有名なこの籠城戦は結果、数多くのユダヤ人の死者を出し…

ピーター・ストラウブ「ジュリアの館」

ストラウブはマイナーな作家で、日本ではキングほど認知されていないのだろうけど、ぼく的には「ゴースト・ストーリー」一作だけで、永遠に記憶に残る作家となった。 そんな彼の日本でのホラー初紹介作?だと認識しているのだが、合っているかな。 ま、そん…

朝宮運河 編 「家が呼ぶ --物件ホラー傑作選」

朝宮運河氏が編んだちくま文庫のホラー・アンソロジーで、こちらはタイトルのごとく『家』を題材にした物件ホラー傑作選なのであります。前回読んだ「宿で死ぬ」より身近な題材だから、よりゾゾれる作品が多いのでは?と期待して読んでみた。収録作は以下の…

永嶋恵美「檜垣澤家の炎上」

明治から大正にかけて、横濱で蚕糸で財を成した檜垣澤家に引き取られた妾の子、かな子。亡くなった母は、彼女に女が生きていく上でのノウハウを叩き込んでいた。ゆえにかな子は幼少より人をよく観察し、話を聞きそれをすべて生き残るために利用する術を身に…

スティーヴン・キング「アウトサイダー(上)」

ヘレン・マクロイの「暗い鏡の中に」でも本書と同じ謎が描かれる。同時に離れた場所に現れる同一人物。ドッペルゲンガー?双子?前者だとオカルト、後者だとトリックという解釈になるのだが、キングが描くとなると、そりゃ前者でしょ。 読み始めるまで、これ…