読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧

飛浩隆「ポリフォニック・イリュージョン  飛浩隆初期作品集」

初期作品というわけで、ちょっと気負った硬質な印象が強かった。表題作は、ストンと落ち着いたエンディングで良かった。次の「異本:猿の手」も、本家の展開を逆手にとって、ラストで一気にSF空間にもっていくのが良かった。しかし、それに続く四作はイメー…

三倉ゆめ「魔法少女♡三十路」一巻

保守(ほし)ようこ35歳、目立たず幸せにを信条とする三十路独身女性。ある日突然彼女は魔法少女に選ばれてしまう。キャピキャピの女の子がキラキラになって活躍するあの魔法少女を三十路の女性がこなしていくのはかなり辛い。だって、お肌も体型もあの黄金…

アンドレアス・フェーア「弁護士アイゼンベルク」

読みやすさに驚く。まるで掴みはOKな出だしから、残虐な死体が出てきて、どんどん時間が巻き戻りコソボから逃げてきた母娘のサスペンスフルな挿話が描かれる。最初は、それらのつながりが見えない。当たり前だ。常套だ。交互に描かれる弁護士とコソボ難民。…

原田マハ「たゆたえども沈まず」

ゴッホ(本来名前で区別するならフィンセントなのだがゴッホが一般的なのでゴッホで表記する)が日本の浮世絵に多大な影響を受けているということは何かで読んで知っていたが、こんな時代に単身パリに飛んで、画商となった日本人がいたことは知らなかった。…

マリアーナ・エンリケス「寝煙草の危険」

スパニッシュっていわれても、ピンとこないけどね。だから、なんの期待もせず読み出したのだが、これがなかなか良かった。ここに描かれる物語たちは今の時代のどこかの話であって、ラテンアメリカ的なマジックリアリズムめいたファンタジックな要素もないし…