読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

杉浦日向子「YASUJI東京」

杉浦日向子は大好きで、彼女の作品は大抵読んできた。出会いは「百日紅」だ。葛飾北斎と娘のお栄、居候の池田善次郎(のちの英泉)が織りなす江戸の風物や怪異。この作品で『走屍』なるものを知った。 それはさておき、それから彼女の作品を手当たり次第読ん…

小松左京「復活の日」

小松左京の本を読むのは初めてなのです。タイムリーでもあるよね、ここまで酷くないけどコロナを体験した身にとってはね。 有名な作品なのであらためて紹介するまでもないだろうけど、本書は未知のウィルス(ということにしておこう)で世界が破滅してしまう…

真島文吉「右園死児報告」

右園死児は人にあらず、物にあらず、でも存在するものなのである。本書を開けば、それに関する報告事例がどどーっと羅列される。それは不気味な現象だ。物の名前、人の名前、例えば右園死児という文字を書くだけでも災厄は起こる。いってみればそれはウィル…

M・W・クレイヴン「グレイラットの殺人」

謎や繋がりが明確になるところがミステリの中心線だとすれば、それらを解明する人たちは傍線だ。でも、この傍線はとても大事でクレイヴン描くところの本シリーズは、この主要キャラクターたちの魅力が素晴らしいから、一度その世界にハマってしまったらもう…

背筋「口に関するアンケート」

てのひらに収まりそうなくらい小さくて薄い本。60頁くらいだから、すぐ読める。何人かの大学生のインタビューが続く。どこかの山奥にある墓地。地元では有名な心霊スポット。その墓地の真ん中にある大きな木がヤバいって。肝試しってありがちだし、誰でも経…

M・W・クレイヴン「キュレーターの殺人」

続けて三作目です。前回も書いたけど、犯人が捕まってからもやっぱりおもしろいんだなこれが。 今回は、各所で指が見つかるところから話が始まる。指は三人の人間のもので、中には生体反応が出たものもあった。しかも、それらが発見された経緯を考えると、犯…