2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧
やはりすごいリーダビリティなのだ。短い章割りでしかも章の最後一行でえ?え?てなるから、どんどん読んじゃう。しかし、面白いだけですまないのである。本書で扱われている事件はかなり曲がりくねった事件であり、それが内包する人間のダークな面もことさ…
今回はカルト教団絡みの殺人だ。基本カルトは、あまり好みでない。だからそれを扱っているミステリにはあまり食指を動かされない。事件自体も連続殺人ではないので、一人の死をめぐって上巻は終わった。しかし、いつものとおりのブレない面々の個性は健在で…
もともとぼくは清張のことは社会派の推理小説家ぐらいにしか思っていなくて、水上勉なんかと一緒にして、まあ読むことないなと勝手に決めつけていた。でも、こうやって親しむようになってこの人が時代、歴史物から出てきた人だということを知って、二度驚い…
六編収録。ラインナップは以下のとおり。 「失踪の果て」 「額と歯」 「やさしい地方」 「繁昌するメス」 「春田氏の講演」 「速記録」 表題作と続く「額と歯」は、犯罪とその捜査に重点を置いて描いているが、なんかちょっと性急な感じがした。描写が的確じ…
この光文社文庫の清張短編全集のシリーズって、巻末に本人の各作品に言及したあとがきと、写真と解説と、さまざまな作家たちの「清張と私」というエッセイが収録されていて、案外お得なシリーズなのである。各扉のイラストも朝倉摂だなんて、ほんと豪華! さ…
清張を知るきっかけとなった長いシリーズが終わりました。でも、楽しかった。この歳になって、身に染みるあらゆる煩悩を叩きつけてくる清張節に完全ノックアウト。宮部女史の親切な解説も相まって、いい読書ができました。宮部さんたら大上段に構えてなくて…