読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2026-04-01から1ヶ月間の記事一覧

村山由佳「風は西から」

爽やかで明るい表紙、奥田民生の曲と同じタイトル。予備知識なしで読めば、誰がこんな展開になると想像できるだろう? ぼくは本書の半ばあたりを市バスに揺られて読んでいたのだが、憤りで涙があふれ、それ以上読むことができなくなってしまった。こんなこと…

木下龍也「つむじ風、ここにあります」

短歌はいい。そう思える自分もいい。何がいいのかいろいろ考えてみたけど、これはやはり理屈ではなく、身体に直接働きかける感覚なのだ。だから、本書の中にもいいと思うのもあるけど、あんましって思うのもある。 刺さるっていうの?心に食い込んで息苦しく…

佐藤弓生「短歌百物語」

「短歌探偵タツヤキノシタ」の短歌にしびれて、そのながれで手に取ったのが本書である。佐藤弓生氏が選んだ九十九首の短歌に触発された物語プラス単独一編合わせて百物語なのである。 正直、物語の方はあんまりピンとこなかったが、短歌には魅せられた。直感…

チョン・ヘヨン「誘拐の日」

韓国の小説は何冊か読んできたけど、ミステリは初めて。しかも、本書ってかなり上手い仕上りになっている。タイトルからも表紙からもわかるとおり、女の子が誘拐されるお話なのだが、はやくから話は混乱する。ていうか、なんちゅう展開!!!って感じになる。…

ジョー・キャラハン「瞬きすら許さない」

AI(人工知能捜査体)と休職明けの警視正キャットがバディを組んで失踪事件を捜査する。ブレスレットとして身につけることができ、ホログラムとして実体かと見まがう投影ができる汎用性AI。当然のごとく直観を重んじるキャットは最初からAIの試用に反発をお…

阿川佐和子他「ああ、恥ずかし」

生きていれば、恥をかくことなんていっぱいある。知ったかで話してボロが出たり、身体能力の個人的限界でとんでもない行動したり、居てはいけないところにいたり、見られているのを知らずに変なことしていたり、後でバレたり。 ぼくなど若かりし頃、車を運転…

梨「拾得物 南贍部学園生徒手帳」

生徒手帳拾っちゃった。しかし、なんて読むんだい?せん妄のせんじゃないな。なんちゅう名だ?こんな学校あったっけ?届けてあげたほうがいいよな。でも、なにこれ赤ペンで書き込みしてあるぞ?使える?どうゆうこと?何に使えるってことなんだろ?ん?なん…

サマセット・モーム「夫が多すぎて」

3幕の喜劇なので、気軽に楽しめる。主要登場人物がみな物事に対して深刻ぶらないのがいい。戦場で死んだはずの夫が、再婚している妻のもとに帰ってくるという、なんともわやくちゃな状況が、これだけ軽く描かれ、笑えてしまうのは楽しい。 渦中の中心にいる…