読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

みうらじゅん編「清張地獄八景」

清張地獄八景 (文春文庫 み 23-9)

 

  松本清張ってば、そんなに読んでいなくて。「ミステリーの系譜」「点と線」くらいじゃないかな。でも、短編には興味あっていろいろ読もうと思って買ってはいるんだけど、まだ読めておりません。そういう状態でこの全身全霊の清張ファンブックを読んだのだが、おもろいね。

 みうらじゅん氏はもう究極の清張オタクで、大好きで大好きで仕方がない人。そんな彼が松本清張に関する究極のファンブックを作っちゃったって感じだ。

 先にも書いたが、ぼくはあまり清張の本を読んできてない。映画やドラマはいろいろ観たけどね。なんといっても「砂の器」と「鬼畜」のインパクトといったら。その二作に関する裏話も本書に載っていて驚いた。もちろんどちらも原作を読んでいないのだが、「砂の器」のあの親子巡礼の旅が原作ではたった一行で済まされていたとは知らなかった。あれでこその「砂の器」だと思っていたので、これはびっくりだった。「鬼畜」はまことにやりきれない話で、岩下志麻の鬼気迫る演技にビビったものだが、まさかそんな裏話があったとは。気になった方は本書をお読みください。

 清張自身の人となりがよくわかるのも親しみがわく。あと、みうらじゅん氏の清張作品に対する読み込みとリスペクトが半端なく、まったくの初心者であるぼくでもこれは読んでみたいと思わせる。ぼくも、この歳になって守るべきものも多く、また誘惑もチラホラあったりして、いつ、この、みうらじゅん氏の言う『清張スイッチ』を押すことになるのかとヒヤヒヤする。だから、この際というかこのタイミングで松本清張作品を読んで不測の事態に備えたいと思うのである。

 どこかで清張がこう宣うのだ。

 「わしは、見とるぞ!見とるぞ!」