しろねこ校長から『私の○○○ミステリ』と『ミステリ作家について』という 第3回ミステリ学部の課
題が出されました。
というわけで、こうやって書き出してみたのはいいけど、いまこの時点でいったい自分が何を語ろうとし
ているのかは定まっていません。とにかく愛すべきミステリというジャンルについて書いていくうちに方
向が見えてくるだろうと、いささか安易な気持ちでエイヤッ!と書き出してみました^^。
ミステリというジャンルはなんともキャパの大きいジャンルで、いまの時代、エンターテイメントならほ
ぼすべてがミステリ作品だと横暴な意見を出してもまかり通ってしまうくらい、その形態は変容していま
す。数十年前なら、このジャンルはもっと整然としていて、本格推理、ハードボイルド、サスペンスとい
った簡単な括りでほとんどの作品は区分けできたものですが、いまはそこにホラーやSFなども融合して
きてジャンルミックス型や、謎も事件も起こらないミステリなんてのも登場しています。
昨年「このミス」の国内海外でそれぞれ1位だった作品を思い返してみてください。どちらも本来の意味
でミステリという言葉が反映されている作品ではないと思いませんか?
ミステリすなわち推理小説。
事件か謎があり、それを解決して円が閉じる物語。ミステリという響きにはロマンティックな憧れがあり
ます。だから、ぼくが心底惚れ込んでいるミステリといえば本格、これに尽きます。
名探偵、不可能犯罪、見立て、ダイイング・メッセージ、クローズド・サークル、暗号、ミッシングリン
ク、読者への挑戦状、叙述、プロバビリティの殺人、そして密室。古臭くもあり、出尽くした感のあるこ
れらの使い古されたミステリ用語についつい反応してしまうのは、決してぼくだけではないはずです。
本来あるべき姿で描かれるミステリ。不穏な事件、奇妙な謎、いわくありげな登場人物たち、天才肌の名
探偵、紆余曲折があり最後には一同を集めての大団円。基本的にはこの構成が一番しっくりくるミステリ
の定番スタイルなのでしょう。
さて、そんな魅力溢れるミステリなのですが、以前ぼくは海外作品のミステリベスト10というのを選出
では、国内ではどうなのか?
は間違いありません^^。異論はあるでしょうが、ぼく個人の好みからいえばこれらの作品を外してのベ
ストは考えられません。
「虚無への供物」は一見とっつきにくい印象がありますが、これが読んでみるとグイグイ惹きこまれるお
もしろさに溢れてます。アンチミステリーとして名高い小説ですが、ミステリとしての結構は素晴らしく
構築されていて、圧巻のラストは本を閉じるタイミングが計れないほどのおもしろさでした。
「占星術殺人事件」を読んだときの衝撃はいまでも忘れられません。奇怪な殺人事件とエキセントリック
な探偵、そして驚天動地のトリック!!まさしくミステリの王道を行く傑作中の傑作だと感嘆しました。
「生ける屍の死」は死人が蘇るというおバカな設定がなければ成立し得ないロジックを構築したところに
驚きました。途中、ちょっと中だるみが感じられるのが玉に瑕なんですが、それでもラストにこれだけ見
事なミステリロジックが味わえるのなら文句は言えないでしょう。
作品ですね。この作品のトリックはまことに鮮やかで、これほどカタルシスを味わわせてくれる作品も少
ないんじゃないでしょうか。
ストーリーテラーです。失踪人捜しからはじまるこの壮絶な話は、一人の女性の悲痛な人生を炙りだして
読者の心をがっちりつかんでしまいます。読んだのはかなり前ですが、この本から受けたインパクトはい
まだに薄れる気配がありません。数ある宮部作品の中でも本書をNo.1と推す人は多いんじゃないでし
ょうか。
というわけで、長々と書いてしまいました^^。
これだけダラダラ書いてきて、まだ今回のテーマ『私の○○○ミステリ』の○○○に入る言葉が見つかっ
てないんですが、とにかくミステリが好きなんだという気持ちは汲んでもらえたと思います。なにより、
このブログの記事で一番多く書いているのが「国内ミステリ」の書庫なんですから、これは間違いありま
せん^^。
ここはシンプルにいきましょうか。
ということで、今回は『私の大好きなミステリ』ということで、お開きにしたいと思います^^。