読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

『本楽大学ミステリ学部』~ミステリとの出会い~

本楽大学ミステリ学部がしろねこ学校長主催でいよいよ本格的に活動を開始しましたね^^。

なんともすごい学部だ。歴戦練磨のミステリの達人が数多く在籍するというこの学部の活動を指をくわえて見ていたのですが、ぼくもちょっと参加してみたくなりました^^。ということで、とりあえず「ミステリとの出会い」というテーマで書いてみたいと思います。

ぼくが読書に目覚めたきっかけは以前にも書きましたが、それはそれは不謹慎な動機が元でした。とにもかくにも読書のおもしろさを知った中学生ベックは、手当たりしだい色々読んでみることになります。

でも、まだ読書初心者なので、まさしく手探り状態。いまみたいに「なんちゃらベスト」とか「なんちゃらがすごい!」なんて便利な雑誌がなかった時代でもあり、ぼくのまわりに本好きがいなかったことも関係して、当初は暗中模索の日々が続いてました。そんな折に出会ったのが当時飛ぶ鳥も落とす勢いだった赤川次郎だったのです。彼のどの作品を最初に読んだのかは、もう記憶の彼方なのでわからないんですが、たぶん「一日だけの殺し屋」あたりの短編集だったと思います。

おもしろいと思いました。おもしろいし、読みやすい。ミステリとしての結構がどうのこうのというより単純に楽しめた。だから、彼の作品を次から次へと読んでいきました。当時読んだ中でミステリとしてよく出来ていたと思うのが「三毛猫ホームズの推理」です。読んだ方も多いと思いますが、ここで扱われているのは密室殺人。しかもそのトリックの大胆なこと^^。かてて加えて、ミスリードのうまさが光ってました。溜飲の下がる思いとでもいうのでしょうか、ミステリのおもしろさを知った一冊でしたね。

赤川次郎から波及していったミステリ熱は、やがて海外作品に飛び火します。とりあえず有名どころでクリスティの「そして誰もいなくなった」を読んでみたら、これがおもしろかった。素晴らしいと思いました。それじゃあってんでクリスティの他の作品も読んでみたのですが、これは左程でもなかった。だからぼくは今でもクリスティといえば拒否反応が出てしまいます^^。次に試してみたのが、たまたま家の本棚にあったクイーンの「シャム双子の謎」。いわずと知れた国名シリーズです。これも良かった。山荘が舞台で山火事に閉じ込められにっちもさっちもいかない状況で起こる殺人事件。この本のおもしろいところは、犯人が物語の最初で・・・・ってこれはバラしちゃダメですよね^^。

そんなある日、ぼくは古本屋で素晴らしい本に出会います。小林信彦・編「横溝正史読本」。これを読んでもっともっと海外のミステリを読まなくてはいけないと痛感しました。そこでクイーン「Yの悲劇」、カー「夜歩く」、クロフツ「樽」、ハメット「マルタの鷹」を制覇。国内の作品もその合間をぬって高木淋光「成吉思汗の秘密」、森村誠一人間の証明」、夢野久作ドグラ・マグラ」などなどを読んでいきました。でも、いまだに横溝大先生の作品は短編集一冊しか読んでません^^。当時ほとんどすべての作品がドラマなり映画なりで映像化されてましたから、ぼくはそれを観て横溝作品すべて読んだ気になってたんですね^^。

この時点で丁度80年代後半くらいかな。ようやくミステリベストの先駆けとなる本が出版されました。文春文庫で刊行された「東西ミステリーベスト100」という本がそれです。この本には、ほんとに世話になりました。いまだに手元においてたまに読むんですが、もうボロボロです^^。この本はまだまだ暗中模索の状態だったぼくを、まことに明るい光明でもって道案内してくれた本でした。

ここからミステリの世界が一挙に広がっていきます。なんとまあ、ミステリとは奥が深くそしてまた果てしなく広い世界だったことか!また、それがとてもうれしかった。まだまだこんなに読みたいと思う本があるんだと狂喜乱舞しました。それからの三年間は集中的にミステリの傑作、良作を読んでいきました。

チャンドラー、土屋隆夫アイリッシュ島田荘司、ブランド、中井英夫、レヴィン、泡坂妻夫。ここで現在のミステリ知識の土壌が作られたんだと思います。このときにホームズ譚もすべて読んでしまいました。そうこうしているうちに、国内では新たな動きが出てきます。そう、新本格ムーヴメントの到来です。綾辻行人を筆頭に講談社レーベルで発掘された大学ミステリ研究会の面々とそれに対抗するように東京創元社のほうでは『鮎川哲也と十三の謎』という新しいレーベルで有栖川有栖北村薫山口雅也らが
登場。のきなみ素晴らしい作品ばかりで一挙にミステリの市民権を獲得しました^^。

それらの作品を選り好みしてなんとか消化。日本のミステリもおもしろくなってきたもんだ、と喜びました。この時登場したミステリ作家の中では山口雅也法月綸太郎がマイ・フェイバリットですね。

とまあ、こんな感じのユルユルなミステリ体験記だったんですが、どうでしょう、しろねこ校長?こんな感じでいいんでしょうか?