読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

赤い月の夜に

大きな月が不気味な赤い色をしている

丘にのぼって月を両手でつかもうとしたら

あたり一面に星が降ってきた

光り輝く星たちは

てんでばらばらに飛び散って

跳ねて、飛んで、消えてしまった

遠くから聞こえる車のクラクションに

ぼくの思考がさえぎられる

君の眉はきれいだね

長い指も素敵だ

君は冷たい水をゴクゴクのどを鳴らして飲んだ

なめらかな首筋が赤く輝いて

ぼくは少し恥ずかしくなる

大きな月は赤く輝いて

小さく咳こむ君をてらしだす

虫の音がやみ

立ち上がった君が

大きく伸びをする

こんな夜に

君をおいてはいけない

やさしい気持ちのなかで

ぼくは、悪魔に魂を売ってしまう