本書は短編集。二編収録されています。
「チャス・マッギルの幽霊」は、第二次大戦中に一人の男の子が体験する不思議な出来事、「ブラッカムの爆撃機」は、イギリス空軍の爆撃チームが遭遇する異様な出来事を描いています。
さすがウェストールだけあって語り口は絶妙、特に「ブラッカムの爆撃機」は中盤での空中戦で炎上するドイツの爆撃機の場面から怪異の経過が語られるラストまで、大人でも背筋が寒くなる迫真の筆勢で、この本も子どもにとっちゃかなり怖い思いをするんじゃないかと思っちゃいました。
「チャス・マッギルの幽霊」は、シチュエーション的にはSFですね。こちらも心憎いぐらい巧みに戦争の暗い影と怪異がうまく組み合わされています。大きな館の閉ざされた部屋。誰もいないはずのその部屋にいるなにか。この話はラストで思わぬハッピーエンドをむかえます。
短編が二編だけなんで、ほんとに薄い本なんですが読めば納得、十分満足できます。
っていうか、ウェストールの短編もっと読みたいですね。どこかまとめて出してくれないかな。