本書に収録されている「犯罪一の一」が原作となった映画「クライム101」が公開された。もう、公開は終わっているのかな。ぼくはそれを観て、本書を読みたくなったのである。映画はやはり原作を少し変えてあって、途中なんか唐突だなと思える展開もあったので、そういう引っかかりを確認したかったのだが、監督のバリー・レイトンあまりうまくないね。
その他の作品については、巻頭の表題作がいつものというかここ最近のウィンズロウ節全開で、報復につぐ報復が映画「レオン」ばりのアクションで展開されるお腹一杯の作品。麻薬カルテルの抗争を描いていたドン”犬の力”ウィンズロウが前面に押し出されていた。
打って変わって「サンディエゴ動物園」は、銃を手にしたチンパンジーを捕獲すべくドタバタやってドジる主人公の巡査クリスの活躍を描く。ライトな仕上りでそこかしこに漂うユーモアを楽しみながら読み終わることができる。読後感もとても気持ちのいい作品。ニール・ケアリーのシリーズを思い出してしまった。と思っていたら、ああた最後の最後に、わー!!!!
興奮冷めやらぬまま次の「サンセット」を読むと、ここで集結。ウィンズロウの過去作の登場人物たちが一堂に会するお話でテンションマックス。でも、「夜明けのパトロール」のシリーズは未読なんだけどね。こちらはヒネリもなんにもないけど、あのニールがお年を召してぼくより年上になっちゃったニールが大学教授になっちゃったニールが登場するからそれだけで感動なのである。ここで語られるのは伝説のサーファーにしてジャンキーのテリー・マダックスの追跡劇。サーファーの心情にはシンパシー感じない。でも、かつての伝説のヒーローだったテリーが落ちぶれて身を持ち崩し、そんな彼を追い詰めないといけないみんなの心情には熱いものを感じた。相変わらずニールはニヒルだけどね。
「パラダイス――ベンとチョンとOの幕間的冒険」も、過去作「野蛮なやつら」で活躍したベンとチョンとOがハワイで暴れる作品。これも未読なんだな。「ボビーZの気怠く優雅な人生」もだ。しかし、それを読んでいなくても楽しめる。ていうか、この作品のラストでもあの人が登場して思わず声を出してしまった!
「ラスト・ライド」は、現代のカウボーイを描いてなかなかの余韻を残す。正義を貫いた先の現実に衝撃をうける。たいていの人間は大きな犠牲を払わずにすむなら、正しいことをするものだ。だけど、大きな犠牲が必要なときに正しいことをする人間などひとりもいないだろう、という作中の言葉が深く胸に残る。
というわけで、読み応え抜群の中編集だった。ずっと読んでいられる気がした。読み逃している彼のシリーズ物読まなきゃね。なんか、サーファーとか気が乗らないからずっと積読だったのだ。
