読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・スタインベック「エデンの東」

今回、新訳が出たということで、このジェームス・ディーン主演の映画で超有名な作品を読んでみたのですが、久しぶりに小説を堪能しました。もう、淫したといってもいい。正直いって読む前は、これほど心をとらえる本になるとは思っていませんでした。第一、…

ドン・ウィンズロウ「ウォータースライドをのぼれ」

本書は、ストリートキッズだった主人公ニールが、父親代わりのグレアムに拾われ探偵として生きる術を学びながら成長していくという涙ちょちょぎれもんの傑作シリーズ第4弾です。 シリーズを続けて読んできた読者にとっては、本書の展開はまことに楽しい。 …

ピーター トレメイン 「アイルランド幻想」

本書はケルトの伝承や伝説をもとに描かれたゴシック・ホラー短編集。で、不思議だったのが現代を舞台 にしてて何故にゴシック・ホラーなのかってことだったんですが、読み進めていくにつれてその疑問は消 えさりました。 最初の数編はまさしく現代を舞台にし…

ウーヴェ・ティム「カレー・ソーセージをめぐるレーナの物語」

本書を読んで、いったいカレーソーセージなる食べ物がどんな味なのか作って試さない人がいるでしょうか。それほど本書で描かれるこの魅惑的な食べ物は、あこがれと賞賛に満ちていますね。しかし出発点はカレーソーセージなんですが、そこからひろがる物語は…

ロバート・F・ヤング「ジョナサンと宇宙クジラ」

ぼくの独断と偏見で決めた感涙SFベスト3の二冊目です。 ロバート・F・ヤングの作品をひとつでも読めば、誰もが彼の虜となることでしょう。とにかく彼の作品は甘い。そしてひしひしとせつない。 本を読んでいて涙を流すことのなかったぼくが、はじめて涙…

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」

この本は、ぼくが勝手に決めている感涙SFベスト3の一冊です。 まず、作者の名前に注目してください。どう見ても男名ですよね。でも、この作者女性なんです。 彼女がデビューしたのは60年代も後半、そして女性だということが発覚したのが76年。その間…

ビル・S・バリンジャー「消された時間」

さてさて、この作者の代表作といえば、やはりあの結末部分が袋閉じされた「歯と爪」なんでしょうね。 残念ながらその代表作はまだ読んでないんですが、今回はその作者のもうひとつの代表作といえる本書を 紹介したいと思います。 いわゆる本書は記憶喪失物な…

ウィリアム・L・デアンドリア「ホッグ連続殺人

『雪に閉ざされたニューヨーク州スパータの町は、殺人鬼HOGの凶行に震え上がった。彼は被害者を選ばない。手口も選ばない。不可能としか思えない状況でも、確実に獲物をとらえる。そして巧妙に事故や自殺に見せかけたうえで、声明文を送りつけるのだ。署…

ピーター・ストラウヴ「ゴースト・ストーリー」

英米では、スティーヴン・キングと対をなす評価を得ているピーター・ストラウヴの代表作です。 この作品の成立は、ストラウヴがキングの「呪われた町」を読んだことが発端となっています。 「呪われた町」にインスパイアされたストラウヴは、一念発起、古今…

ジョン・アーヴィング「ガープの世界」

現代アメリカ文学を代表する作家、ジョン・アーヴィングの代表作が本作「ガープの世界」です。 この作品、ロビン・ウィリアムズ主演で映画化されてるんで観た方も多いとおもいますが、 この作品ほど愛しい作品はないってくらい、ぼくはこの本に首ったけにな…

筒井康隆「家族八景」

最初に断っておきますが、本書は筒井康隆の最高傑作だとぼくは勝手に思っています。本書の主人公、火田七瀬はテレパスであります。人の感情あるいは心の声を読み取ることができる超能力を備えている。 そんな彼女が、お手伝いとして訪れる八つの家庭が独立し…